研究課題/領域番号 |
24592098
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
伊豫田 明 東邦大学, 医学部, 教授 (10302548)
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研究分担者 |
佐藤 之俊 北里大学, 医学部, 教授 (90321637)
秦 美暢 東邦大学, 医学部, 准教授 (90349910)
田巻 一義 東邦大学, 医学部, 助教 (80385799)
佐藤 史朋 東邦大学, 医学部, 助教 (30385736)
大塚 創 東邦大学, 医学部, 助教 (70408855)
牧野 崇 東邦大学, 医学部, 助教 (30459797)
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キーワード | 肺癌 / 個別化 / 予後 / システムの構築 |
研究概要 |
本研究に関しては、東邦大学医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し、本年度承認を得た(東邦大学 平成25年9月3日 課題番号25047 テーラーメイド医療を目指した原発性肺癌に対する遺伝子解析)。現在、臨床的に予後不良と考えられる肺大細胞神経内分泌癌を対象に、Ki-67 labeling indexを計測、さらに、トポイソメラーゼIの免疫染色を施行し評価中である。今後、トポイソメラーゼII,ERCC1,CD44, EGFR,VEGFの発現解析と比較対照として肺腺癌へも同様の研究を検討中である。学会発表として、肺の高悪性度神経内分泌腫瘍、特に肺大細胞神経内分泌癌の術前診断における細胞診の有用性と外科治療についてまとめた「肺の高悪性度神経内分泌腫瘍をめぐる諸問題-細胞診と外科治療の接点」を第52回日本臨床細胞学会秋期大会シンポジウムにて報告した。また肺神経内分泌腫瘍である定型カルチノイドに関して、診断と治療の現状と今後の展望に関して「Bronchopulmonary carcinoids」というテーマで15th World Conference of Lung Cancerシンポジウムにて報告した。論文としては、肺大細胞神経内分泌癌の外科治療の現状と術後補助化学療法、分子標的治療薬の可能性に関してまとめた「Treatment options for patients with large cell neuroendocrine carcinoma of the lung」がGeneral Thoracic and Cardiovascular Surgery誌にacceptされ、acknowledgementに本研究費のサポートを受けた趣旨を記載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度から、前任の北里大学から東邦大学へ異動となり、東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究により研究を遂行するため、医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し、承認を得た(東邦大学 課題番号25047 テーラーメイド医療を目指した原発性肺癌に対する遺伝子解析)。研究体制を新たに整えながら研究を推進することを念頭に、本年度は、東邦大学における臨床データをまとめ、今後の研究を推進するための基礎に主眼を置いた。したがって、東邦大学での試験データの解析、発表、論文化を進めたため、予算執行も発表、論文化が主体となった。その結果、学術集会総会での研究発表2件、2013年第52回日本臨床細胞学会秋期大会「肺の高悪性度神経内分泌腫瘍をめぐる諸問題-細胞診と外科治療の接点」、2013年15th World Conference of Lung Cancer「Bronchopulmonary carcinoids」と、英文論文化1件、General Thoracic and Cardiovascular Surgery誌「Treatment options for patients with large cell neuroendocrine carcinoma of the lung」を成し遂げることができたのは大きな成果であったと考える。今後は、東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究計画により研究を継続するため、臨床データの解析とともに研究をすすめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
東邦大学の臨床情報、臨床検体を使用した研究により研究を遂行するため、医学部倫理委員会へ研究計画書を提出し、承認を得た(東邦大学 課題番号25047 テーラーメイド医療を目指した原発性肺癌に対する遺伝子解析)。肺癌と診断され、治療目的に東邦大学呼吸器外科に入院となり、本研究に対して同意を得られた患者を対象とし、手術の際に採取した肺癌検体を用いて、epidermal growth factor receptor(EGFR)における遺伝子変異、EGFR 遺伝子増幅、K-ras 遺伝子変異、c-kit 遺伝子変異、HER2 の過剰発現、HER2 遺伝子増幅を検討。c-KIT、VEGF、VEGFR およびその関連遺伝子蛋白発現に関しては、免疫染色を行い、蛋白発現を中心に研究するなどして、DNA、RNA発現解析、蛋白発現解析を行う。年齢、性別、喫煙、術前画像診断におけるpositron emission tomography(PET)のstandardized uptake value値、臨床病期、術後補助療法の有無、再発の有無や予後などの臨床的な背景や、特殊な組織型を含む病理組織診断、腫瘍径、核分裂数、リンパ節転移、病理病期などの各因子における遺伝子発現や遺伝子変異のpatternの相違を検討する。発現結果を肺癌の臨床データと対比して、リンパ節転移、術後再発、予後との関連を解析し、予測マ-カ- としての有用性を検討する。病理学的に悪性の指標とされるmicropapillary patternや高悪性度神経内分泌癌とマ-カ-発現の関連、異型腺腫様過形成などの前癌病変との関連を通じて、発癌もしくは浸潤転移に関連するものであるのか検討する。過去に解析したデータと対比して、われわれが過去に開発した肺癌再発およびリンパ節転移予測マ-カ-や過去に他の施設で発表されたマ-カ-との関連を探索し、新規マ-カ-としての有用性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
東邦大学医学部倫理委員会への研究計画書の提出し承認を得たため、患者からの研究同意書の取得し研究を継続していく。そのため平成25年度に予定していた研究は東邦大学の臨床データ集積が中心となり,検査費用が支出できず繰り越しとなった. 今後の使用計画として肺がんの中でも肺神経内分泌腫瘍の詳細な予後を検討するために病理学的にどのような腫瘍の悪性度が高いか,Ki67 indexを用いて予後を比較する.またリンパ節転移予測,再発予測から予後予測システムを構築し,また予測因子に基づいた個別化された術後化学療法の研究を行う.さらにEGFR,VEGF,ALK,トポイソメラーゼI・II,ERCC1,CD44などの抗がん剤感受性マーカーに対する免疫染色を行い,EGFR・VEGF・ALKの発現性とリンパ節転移、再発・予後との関連性を統計学的に検討し,トポイソメラーゼI・II,ERCC1,CD44の発現率と抗がん剤感受性の違いによる予後予測に関する研究を推進していく.そのため平成25年度の繰り越し分1089221円と次年度の助成金のうち800000円を検査費用として,東邦大学における研究結果を国内での研究成果として報告するために,国内旅費200000円,論文作成などの費用のために300000円を使用予定である.
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