新規内視鏡治療法の基礎実験として、クラウン系ミニブタの気道を対象に全身麻酔下にて接触式プローブを用いて凍結融解療法を施行した。実験はプローブ先端部を-65℃、-85℃まで冷却し、ブタの気管側壁、気管膜様部、主気管支壁、葉気管支壁に対して治療を行った。いずれの温度でも気管支粘膜上皮および粘膜下層、気管支筋層の壊死が認められたが、気管軟骨、気管支軟骨部の構造は保たれていた。部位別には気管側壁、膜様部、気管支分岐部いずれも治療可能であったが、末梢気管支の接線方向の側壁は一部プローブ接触が困難で、凍結壊死効果も不十分であった。 治療時間と効果の相関性については、治療時間に比例してより深部への壊死が認められた。また、長時間治療を行っても軟骨部に一部傷害が認められたものの、穿孔等の合併症を引き起こす深達度ではなかった。以上の結果より、in vivoでの大型動物の気管、気管支上皮に対する凍結融解療法の効果と安全性、治療時間と効果の相関性が病理学的に確認できた。また中枢気道壁への治療効果はプローブの接触角度に影響を受けないことが示唆された。 さらに、C57BL/6マウスとLewis lung carcinoma (LLC) 細胞を用いて担癌マウスを作製し、肺癌細胞に対する凍結融解療法の抗腫瘍効果を病理学的に検証した。腫瘍径を計測しながら経時的に観察を行ったところ腫瘍の明らかな縮小効果を認めた。 これらの成果は今後のプローブ開発や研究推進に非常に有用な結果が得られた。
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