研究課題/領域番号 |
24592107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
竹中 賢 産業医科大学, 医学部, 助教 (80620351)
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研究分担者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
重松 義紀 産業医科大学, 医学部, 助教 (10546469)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30299614)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | THBS-2 / Sera / ELISA method |
研究概要 |
悪性胸膜中皮腫における死亡症例数は年々増加傾向であり、有効な治療法が確立されてないうえに早期診断も容易ではない。悪性胸膜中皮腫の診断および治療を考える上で、分子生物学手法を用いることにより、その分子標的を明らかにして、疾患の制御を試みることは、治療成績の向上を目指す上で極めて重要な課題ある。早期診断、さらには新たな治療法の糸口が確立すれば悪性胸膜中皮腫の予後を改善させることができると考える。 当科にて液性免疫の手法(SEREX法)を用いて同定した悪性中皮腫の腫瘍関連遺伝子であるThrombospondin2(THBS2)およびGene-Xについてその正当性について検討した。中皮腫患者兵庫医科大学との共同研究として、中皮腫患者血清97例、胸膜炎など非中皮腫患者血清23例の血清を用いてTHBS-2及びGene-Xの診断マーカーとしての有用性をELISA法を用いて検討した。その結果、Gene-Xは中皮腫と非中皮腫との鑑別に有用とはならなかったが、THBS-2は有意差を持って中皮腫患者血清において高値であった。また、その結果をROC曲線を用いてcut off値を求めたところ、感度86%、特異度96%と良好な結果が得られた。これにより、悪性胸膜中皮腫患者血清中のTHBS-2値が早期診断のマーカーとなる可能性があることが示された。 しかし、この血清中THBS-2値は悪性胸膜中皮腫のclinical stage及び組織型とは有意な相関は認めなかった。そのため、悪性胸膜中皮腫の診断マーカーとしては有用であるが、予後との相関は認めない可能性もあると推測する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
悪性胸膜中皮腫患者120例の血清の検討にてTHBS-2が診断マーカーになり得ることを結果として得たため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はTHBS-2が悪性胸膜中皮腫の診断マーカーとなるかの再現性を、症例数を増やして検討する。また、悪性胸膜中皮腫の新規の診断・治療マーカーの探索のためEpithelial Esenchymal Transition(EMT)と悪性胸膜中皮腫との関連をEMT関連マーカーを解析し検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養に関わる培地やディスポザブルのプラスティック製品や細胞表面抗原の抗体等の購入、また遺伝子解析に必要な種々のプラスチック製品ならびにキット製剤や遺伝子増幅に必要な試薬の購入に対し物品費100万円の予算を計画している。 また、研究成果発表に要する国内旅費に対して旅費10万円、その他費は論文投稿料・受託検査料に使用する予定で10万円を計画している。
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