研究課題/領域番号 |
24592107
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
竹中 賢 産業医科大学, 医学部, 助教 (80620351)
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研究分担者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
重松 義紀 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (10546469)
花桐 武志 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30299614)
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キーワード | aaa / aaa / γ-catenin / Twist |
研究概要 |
Epithelial Msenchymal Transition (EMT)は上皮細胞が間葉系様細胞に形態変化する現象のことであり、癌細胞の浸潤や転移との関連が報告されている。malignant pleural mesothelioma (MPM)は組織学的に上皮様〜肉腫様の特徴をもつことから、MPMにおけるEMT関連マーカーの発現と臨床病理学的因子および予後との関係を検討した。 1998年~2012年までに当科でMPMの診断が得られた33例を対象とし、EMT関連マーカー(E-cadherin、γ-catenin、vimentin、fibronectin、Twist、YB-1)発現の有無は免疫組織化学染色法を用いて評価した。 E-cadherin、γ-catenin、vimentin、fibronectin、Twist、YB-1の陽性発現はそれぞれ25人、14人、21人、1人、19人、18人の患者で観察された。EMT関連マーカーと臨床背景に関連は認めなかった。EMT関連マーカーと組織型に関してはγ-cateninの発現頻度は上皮型で高い傾向にあり、逆に肉腫型では低い傾向にあった。肉腫型においてvimentinとTwistとYB-1の発現頻度が高い傾向にあり、Twistに関しては上皮型と比較して有意差をもって発現頻度が高かった。生存分析では各EMT関連マーカーの発現の有無で有意差は認めなかったが、γ-catenin発現陰性かつTwist発現陽性で予後不良の傾向が認められた。特に上皮型では、γ-catenin発現陰性かつTwist発現陽性症例で有意差を持って予後不良であった。 EMT関連マーカーの発現はMPM患者において一般的に見られるが、個々のマーカーはMPMの進行に寄与しない可能性がある。γ-catenin発現陰性かつTwist発現陽性症例は予後不良の可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
悪性胸膜中皮腫とEpithelial Msenchymal Transition (EMT)との関連において免疫組織化学染色を用いて検討し、EMT関連マーカーの発現はMPM患者において一般的に見られるが、個々のマーカーはMPMの進行に寄与しない可能性があることと、γ-catenin発現陰性かつTwist発現陽性症例は予後不良の可能性があることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はH24年度に報告したTHBS-2など末梢血液中の悪性胸膜中皮腫の診断マーカーの探索や、切除検体の肺静脈血液中の悪性胸膜中皮腫の予後と関連するマーカーの探索など行っていく予定である。
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