研究課題
・肺癌の治療成績が不良である要因として早期発見や微小転移検出の困難さが挙げられる。1)癌発生の初期から腫瘍細胞が原発巣から遊離し血液中を循環する、2)このような循環腫瘍細胞が遠隔臓器に着床し転移が成立する、といった基礎研究結果から、末梢血液中の循環腫瘍細胞(CTC)が早期癌や微小転移の診断法として期待され、米国では自動化検出システムである“CellSearch”を用いた”CTCテスト”が、乳癌・大腸癌・前立腺癌のバイオマーカーとして臨床使用がFDAより認可されている。これまでの研究で我々は、肺癌でのその臨床的有用性をはじめて示した(Tanaka F他、Clin Cancer Res 2009等)が、検出感度は十分とは言えなかった。・そこで、CTCのより高感度な検出が可能なシステムとして米国にて、マイクロ流体チップ(“CTC-chip”)が開発された(Nature 2007等)。だが、高価であることなどから未だ実用化には至っていない。我々は前述の“CTC-chip”と比較して安価で耐久性がある国産の“CTC-chip”を開発した(Ohnaga T他、ISMRC 2011)。今回の研究では、“CTC-chip”の肺癌における有用性を“Cell Search”と比較検討し、より高感度かつ信頼性の高いCTC検出システムに改良することを目的とした。また、検出したCTCを遺伝子検査や、治療方針決定の補助診断として活用し、より侵襲の少ない診断方法として確立していくことを最終目的としている。・今年度も昨年に引き続き、CTC-chipの改善、抗体の種類や濃度の条件の確立、捕捉した腫瘍細胞の同定法の確立を中心に行っている。
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