研究実績の概要 |
脳動脈瘤の発生、増大を予防することを目的として、動物モデルを用いて、強力な抗酸化作用を有するアップルポリフェノールの有効性を検討した。使用したアップルポリフェノールはリンゴより抽出され、プロシアニジン(64%)、カテキン(13%)を主成分としている。本年度は、これまでの2年間で統一されていなかった脳動脈瘤作成法を統一し、かつ発生予防、増大予防ともに頭数を増やし、免疫組織学的検索を含め検討を加えた。 1)脳動脈瘤作成法:ウサギを用い両側頚部頚動脈結紮による脳底動脈先端部の脳動脈瘤形成モデルを使用した。この方法では、高率に動脈瘤の形成がみられることを確認した。 2)アップルポリフェノールの投与:治療群では、これまでの実験でより有効性がみられた40mg/kg/日のアップルポリフェノールを経口投与した。 3)脳動脈瘤発生予防:両側頚部頚動脈結紮後、1週、2週、4週、3ヶ月後に脳底動脈先端部を観察した。非治療群では経時的に動脈壁の非薄化、平滑筋の減少がみられ、免疫組織学的にMMP-2, MMP-9の発現がみられた。3ヶ月目には75%のウサギで動脈瘤の形成がみられた。これに対し、アップルポリフェノール投与群ではMMP-2, MMP-9の発現が抑制され、3ヶ月目の動脈瘤形成は13%であった。 4)脳動脈瘤増大予防:両側頚部頚動脈結紮3ヶ月後からアップルポリフェノールを投与し3ヶ月後に脳底動脈先端部を検索した。非治療群の動脈瘤サイズに比べ、アップルポリフェノール治療群では35%±17%のサイズであり有意に増大抑制効果が得られた。
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