研究課題
基盤研究(C)
今回の研究では、超高磁場MRIを用いることにより、放射性同位元素・造影剤を使用しない脳循環代謝評価を行い、脳卒中発症危険因子予測、術後評価、転帰予測に寄与することが目的とした。初年度である平成24年度は健常ボランティアを中心に、撮像条件の最適化を検討する予定としていた。実際の撮像法としては、MRIはスピンラベリング法を用いて行った。同一症例において、SPECTでは動脈血および静脈血を採取することによる、定量CBFを測定した。MRI装置は現有する超高磁場MRI研究施設の3.0Tesla MRI装置を使用した。さらに健常ボランティアに加え、脳血管性障害を有する症例においての検討も平行して行った。この際には、MRSによる脳温および代謝産物測定も施行した。MRIで測定した脳血流量、脳温とSPECTで測定した脳血流量、脳循環予備能を比較検討した。使用コイルは当初は表面コイルを想定していたが、頭部用コイルの方が良好な画像が得られる事が判明し、こちらを使用した。健常ボランティア症例において、正常値の推定、およびMRI,SPECT間の良好な挿管会を確認した。さらに、SPECTによるCBF定量測定に関しては動脈血と静脈血の間で良好な相関が得られ、今後はより侵襲性の低い静脈採血による定量CBF計測が可能となった。これは本研究により初めて明らかになったものであり、英文誌に投稿し受理された。手術症例において施行したMRS温度測定による脳代謝評価に関しては、術前脳循環予備能との良好な相関が得られた。本知見も海外英文誌に投稿し受理された。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に予定していた状況と比べ、実際の研究内容はほぼ予定通りと考えられる。脳循環定量法に関しては、MRIによる完全非侵襲CBF測定が有効なことが本研究により、明らかになっている。さらにgold standardとして、広く用いられている動脈血採血によるSPECT CBF測定に関しても、静脈血採血による定量CBF測定が可能であることが本研究で明らかになった。本研究結果は、予想以上の良好な結果と考えられた。代謝評価に関しても、従来は放射性同位元素を用いる手法が主流であったが、本研究で開発した温度測定MRSにより、非侵襲的に評価が可能となった。以上、平成24年度は予定通りまたはそれ以上の研究成果であったと判断する。
平成25年度は、使用しているMRI機器のバージョンアップが予定されている。そのことにより、スピンラベリング法が従来の2D撮像から3D撮像が可能となる。ラベリング効率の向上も予想され、より良好な画像が得られる見込みである。また、定量SPECTも静脈血採血で可能となったことから、より多くの症例で検討が可能と考える。以上のことより、急性期症例および手術前後症例における検討を追加することが可能となる予定である。さらに平成24年度に評価した症例の中期的経過観察結果も取得可能となる予定である。
該当なし
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