研究課題/領域番号 |
24592120
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
外村 和也 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90436965)
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キーワード | 脳動脈瘤 / 破裂脳動脈瘤 / 未破裂脳動脈瘤 / う蝕原性菌 / S. mutans / くも膜下出血 / 脳出血 / 頭蓋内出血 |
研究概要 |
口腔細菌と破裂脳動脈瘤の関連性を探索すべく前年度に続き3T磁気共鳴装置を用い、マウス脳動脈瘤の形成および進展の可視化について撮像条件の最適化を行った。撮像に際しマウス専用コイルを用いることによってMRアンギオでは前大脳動脈、中大脳動脈、ウィリス動脈輪および後大脳動脈といった主要な脳動脈瘤に形成される脳動脈瘤を経時的に、そして動脈瘤の大きさの変化までも観察することができ、またT2強調画像によって冠状断および矢状断からくも膜下出血および脳内出血の変化をもみることができた。10例の脳動脈瘤モデルマウスを対象として、脳動脈瘤の形成および頭蓋内出血の有無について2人の判定者によるブラインド評価試験を実施し、解剖時の結果と比較をしたところ、それぞれ正答率が80%および70%であり、MRIにより得られた画像が主観的なものではなく、客観的な評価に値するものであるという結果が得られた。現在は上記の研究内容をまとめ、マウス脳動脈瘤に関する新しい実験技術法としてStroke誌に投稿中である。 さらにこれまでの研究で解明された、頭蓋内出血を悪化させるコラーゲン結合蛋白質を有するう蝕原性菌を用い、マウス脳動脈モデルに対する検討を行った。1週間に2回コラーゲン結合蛋白を有するう蝕原性菌を静脈内に投与をしたマウスの群は、リン酸緩衝生理食塩を投与した群と比べ14日間の実験期間中に、破裂脳動脈瘤によって死亡する率が高いという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳動脈瘤モデルの作製を安定して行うことができるようになった。またMRIで得られた画像が客観的な評価に値するものであるという実証ができたため、この内容を研究成果として論文化する目処がたった。次年度は脳動脈瘤を悪化させるう蝕原性菌による検討を重ね、またメカニズム解明を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はう蝕原性菌を用い、マウス脳動脈瘤モデルに対する検討を重ねる予定である。予備検討としてう蝕原性菌が破裂脳動脈瘤により、マウスの致死率を上げるという実験結果が得られているが、う蝕原性菌が脳動脈瘤の形成に関与しているのか、または脳動脈瘤破裂を増悪させるのかがわかっていない。このメカニズム解明をin vitroの実験系と併せて行う予定である。
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