本研究では、近赤外線の吸光スペクトルを用いて動脈硬化性プラークを画像化することを目的として始められた。H24年度はウサギの頚部皮下組織に埋没させた脂肪組織を食道内のからのプローベからの透過光を皮膚上で集光して画像化することを試みた。しかし、皮下脂肪による散乱が非常に強く、十分に識別可能な解像度が得られなかった。H25年度は、透過光による画像化ではなく、反射光による画像化に変更して、WHHLウサギの大動脈を開腹して露出して直視下に、血管内のプラークを反射光で同定することを試みた。単純に1658nmや1714nmの吸収ピーク量(絶対値)で画像化すると、周囲の脂肪組織のノイズが大きいため、2波長の比率を絶対値に乗じることでノイズの低減できることが示された。さらに、本年度はより厚みのある血管壁におけるプラーク以外の物質による近赤外線吸収を克服するため、組織透過性で優れるより短波長の吸収ピークを含めた解析を試みた。1000nmから2300nmの連続する吸収スペクトルを波形として扱い、ノイズ除去を行った後、反射光量による誤差補正を行い、サポートベクターマシンにより波形特性からプラークの有無を識別した。一検体での機械学習からは非常に高いプラークの同定能が示された。引き続き、この解析アルゴリズムの普遍性を検証するため、他の検体におけるプラーク同定能を検証する予定である。
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