研究実績の概要 |
研究の目的 1. ヒト多能性幹細胞(ES細胞:胚性幹細胞、iPS細胞:人工多能性幹細胞)から脊索細胞の誘導法を確立する。2.同幹細胞由来の脊索細胞、神経細胞を用いて神経管腹側のfloor plate型の細胞を誘導する。3. Floor plateの発生で働く遺伝子、蛋白質のスクリーニングを行う。4. 得られた知見により生体に近い環境でのドーパミン神経、運動神経の分化誘導法を確立し、再生医療や病態解明に役立てる。
平成26年度の成果:前年度までに確立したプロトコールで多能性幹細胞から脊索様細胞を誘導した。それらを低接着の96 well plateに播種し細胞塊(スフェアー)を作成した。一方、既存のSFEBq法で誘導した神経細胞のスフェアーを作った。脊索様細胞と神経細胞それぞれの細胞塊を同一プレートに1つずつ入れ、数日間培養した。それぞれのスフェアーは融合し、あたかも発生段階の神経管と脊索を模倣するような培養系が確立できた。元の多能性幹細胞をGFP, RFPを恒常的に発現する株を用いることにより、スフェアーが融合後に脊索、神経のどちらの細胞かを識別することができた。その結果、融合細胞塊の中では個々の細胞はほとんど移動していないことが分かった。さらに融合細胞塊を固定しスライスした標本を作製したところ、神経細胞がfloor plate型には誘導されていなかった。今後は脊索細胞、神経細胞それぞれの分化段階を種々のタイミングで試す事が必要であると考えられた。
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