研究課題
不安定プラークの分子イメージングおよび分子標的薬の創薬を将来的な目標として、新規血管新生調節因子バソヒビンの頚動脈プラークにおける発現とその意義を明らかにするために研究を行い、以下の結果を得た。頚動脈動脈硬化巣におけるバソヒビン-1の発現をRT-PCR法によって検討すると、正常の血管内膜に発現しているバソヒビン-1と比較して有意に多く発現していた。また、ICAM-1、VCAM-1といった動脈硬化と関連する各種の炎症性マーカーの発現との関連を検討したところ、バソヒビン-1の発現と強い相関関係がみられ、バソヒビン-1と動脈硬化との関連が強く示唆された。バソヒビン-1の頚動脈プラーク内での発現部位について、免疫組織学的手法を用いて検討した。血管内皮細胞に特異的な分子であるCD31と二重染色を行ったところ、CD31と同じくプラーク内の新生血管内皮細胞に発現していることが確認された。以上より、頚動脈狭窄症においてバソヒビン-1の発現が亢進しており、プラークの不安定化に関与している可能性が示唆された。頚動脈内皮細胞の培養細胞を用いた実験では、センダイウィルスを用いてバソヒビン-1遺伝子のノックダウンを試みたが、ウィルスの導入効率が悪く、有効な検討はできなかった。またVEGFに対する中和抗体を使用し、VEGF刺激下でのバソヒビン-1の発現量について比較を試みたが、安定した結果が得られなかった。ラットの頚動脈動脈硬化モデルを用いて、ラットの動脈硬化巣でのバソヒビン-1の発現をRT-PCR法を用いて検討したが、定量の評価に十分なRNAを採取することができず、こちらも有効な検討ができなかった。なおバソヒビン-2についても同様に頚動脈動脈硬化巣における発現を検討したが、免疫染色において発現が十分に見られず、RNAの定量評価においても十分な発現量が見られなかったため、研究は中断した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.5551/jat.29074