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2012 年度 実施状況報告書

脳虚血のメタボローム解析:脳虚血前後代謝変化の包括的解析によるバイオマーカー探索

研究課題

研究課題/領域番号 24592126
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

細田 弘吉  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90403261)

研究分担者 小山 淳二  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00594508)
甲村 英二  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30225388)
内橋 義人  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80605999)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード脳虚血 / 脳梗塞 / メタボロミクス / 頚動脈狭窄症 / 一過性脳虚血
研究概要

1 脳虚血に特異的な代謝産物の同定:脳虚血に特異的な代謝産物を同定するために,32例の頚動脈狭窄症患者を集  積し,頚動脈内膜剥離術を行う際に,内頚静脈血と末梢血を採取した.これ  らのサンプルから水溶性代謝物を抽出しガスクロマトグラフ質量分析装置で  メタボロミクス解析を行った.
1.1 内頚静脈血と末梢血の違い:25症例において,内頚静脈血と末梢血の両方を採取できたので,これら を主成分分析やmultilevel simultaneous component analysisなどの手法 を用いて多変量解析してみたところ,6つの代謝物によりほぼ区別できる ことが判明した.
1.2 一過性脳虚血や症候性脳梗塞を有する患者の判別:過去1年以内に一過性脳虚血もしくは症候性脳梗塞をきたしたことのある 患者群13人と,これまで全く症候をきたしたことのない患者群14人に 分けて,部分的最小二乗法や線形判別分析などの手法を用いて内頚静脈血 を多変量解析してみたところ,8つの代謝物によりこの2群を90%以上 の正確度で判別できるようになった.また,この27人を含む32人分の 末梢血をこのモデルを用いて判別したところ,無症候の患者と一過性脳虚血 や症候性脳梗塞を有する患者を80%以上の正確度で判別することができた.
2 ラット中大脳動脈閉塞モデルの作成:ラットの内頚動脈を露出しnylon糸を挿入,中大脳動脈を閉塞して脳梗塞を作 成した後に,頚静脈血を採取しメタボロミクス解析を行うために,モデル作 成を繰り返してサンプル収集中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1 脳虚血に特異的な代謝産物の同定と,それによるバイオマーカーと脳虚血治療薬の開発:研究実績の概要に記載したように,症例の集積とラットの中大脳動脈閉塞に よる脳梗塞モデルの作成とサンプル集積は順調に進んでいる.また,これら のサンプルの解析結果により,内頚静脈血と末梢血の判別が可能となり,一 方をもう一方の検証サンプルとして使用することも可能と考えられるように なり,より堅固な土台の上に代謝変化を基礎づけられる見込みである.その 嚆矢として,過去1年以内に一過性脳虚血もしくは症候性脳梗塞をきたした ことのある患者と,これまで全く症候をきたしたことのない患者とを区別で きる8つの代謝物を同定することができた.これらは初年度としては予想以 上の成果である.
2 脳虚血後再灌流障害に特異的な代謝物の同定とそれによるバイオマーカーと治療薬の開発:再灌流障害に対する研究は,主として,ラット中大脳動脈閉塞モデルにより 行う予定であり,現在サンプル収集中である.
3 頚動脈の不安定プラークに特異的な代謝産物の同定とそれによるバイオマーカーと治療薬の開発:頸動脈内膜剥離術を行う全患者のプラークのサンプルを収集中であるが,上 述のごとく,脳虚血に特異的な代謝物の同定に有望な結果が見えてきた現在 は,そちらに時間と労力を投入するために,プラークそのものに対する研究 はサンプル収集を継続する方針とする.

今後の研究の推進方策

1 脳虚血に特異的な代謝産物の同定と,それによるバイオマーカーと脳虚血治療薬の開発:初年度から,内頚静脈血と末梢血をほぼ判別可能な6つの代謝物や,過去1 年以内に一過性脳虚血もしくは症候性脳梗塞をきたしたことのある患者とこ れまで全く症候をきたしたことのない患者とを区別できる8つの代謝物を同 定することができた.現在収集しているサンプルには,頚動脈内膜剥離術中 の内頚動脈遮断後の血液も含まれており,脳虚血後の代謝変化のメタボロミ クス解析を進める予定である.また,ラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し, 脳梗塞超急性期における代謝変化を追求していく予定である.
2 脳虚血後再灌流障害に特異的な代謝物の同定とそれによるバイオマーカーと治療薬の開発:ラット中大脳動脈閉塞モデルの脳梗塞超急性期における代謝変化を同定して から,再灌流障害の際の代謝変化を調べる予定であるが,これは,平成25 年度後半から翌年度にかけての実施できる予定である.
3 頚動脈の不安定プラークに特異的な代謝産物の同定とそれによるバイオマーカーと治療薬の開発:前述のごとく,脳虚血に特異的な代謝物の同定に有望な結果が見えてきた現 在は,そちらに時間と労力を投入するために,プラークそのものに対する研 究はサンプル収集を継続する方針とする.平成26年度にそのメタボロミク ス解析を行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 内頚動脈内膜剥離術中の一時的脳血流遮断時の脳代謝変化について -メタボロミクス解析を用いた研究-2013

    • 著者名/発表者名
      中井友昭、細田弘吉、今堀太一郎、 甲村英二
    • 学会等名
      Stroke2013
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル新高輪(東京都)
    • 年月日
      20130321-20130323

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公開日: 2014-07-24  

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