研究課題/領域番号 |
24592128
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
杉生 憲志 岡山大学, 大学病院, 准教授 (40325105)
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研究分担者 |
黒住 和彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (20509608)
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キーワード | 分子標的薬 / バイオマーカー / インテグリン / グリオーマ / cilengitide / CYR61 |
研究概要 |
悪性グリオーマは手術療法,化学療法,放射線療法を併用しても予後は極めて不良である。分子標的治療薬のインテグリンαvβ3, αvβ5の阻害薬であるcilengitideは抗腫瘍血管新生作用、抗腫瘍浸潤作用及び抗腫瘍細胞効果が報告されている。海外において膠芽腫症例に対する多施設共同第2相および第3相試験が行われているところである。インテグリンのリガンドであるCYR61 (cysteine-rich protein 61)は脳腫瘍の血管新生や増殖に関連しているとされ、その発現上昇によりインテグリンとのautocrine loopが活性化するといわれている。今回我々はCYR61の発現によりcilengitideに対するグリオーマの感受性が上昇するか否かを検証し、また、グリオーマ細胞、症例を対象にCYR61の発現解析を行い、CYR61のバイオマーカーとしての有用性について検討を行う。上記、目的を達成させるために、平成24年度はCYR61プラスミド, shRNA、CYR61抗体、CYR61蛋白などに関して本研究のセットアップを行った。 グリオーマ細胞株を用いて、分泌蛋白CYR61の発現におけるcilengitideの反応性を調べた。平成25年度はin vitroにおいて、CYR61を遺伝子導入により強発現または抑制することで、または、分泌蛋白CYR61を用いることで、cilengitide投与時に、グリオーマ細胞株に対してどのような影響があたえられるかについて検討したところ、CYR61の発現上昇により、cilengitideの薬剤感受性が上がり、CYR61の発現の低下により、cilengitideの薬剤感受性が下がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vitroにおいて、CYR61を遺伝子導入により強発現または抑制することで、または、分泌蛋白CYR61を用いることで、cilengitide投与時に、グリオーマ細胞株に対してどのような影響があたえられるかについて検討できたが、human glioma derived cellsについては今後行う予定である。In vivoにおいて、CYR61を遺伝子導入により強発現または抑制させたグリオーマ細胞株、human glioma derived cellsを用いた脳腫瘍ヌードマウス、またはラットモデルに対しシレンジタイドを投与した時にどのような影響がでるかについて検討することは、まだ始めることができていないが、今後行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
1)グリオーマ症例を対象とし、組織標本を抗CYR61抗体にて免疫組織染色を行いバイオマーカーとしての可能性を探る。 2)分泌蛋白CYR61と他の予後因子との関係(MGMTなど)との予後との関連性を調べる。 3)統計学的データ解析を行い、学会発表・論文投稿する。
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