研究課題/領域番号 |
24592131
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
里見 淳一郎 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10304510)
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研究分担者 |
永廣 信治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
兼松 康久 独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター(臨床研究部(成育)、臨, その他部局等, その他 (90363142)
多田 恵曜 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30547964)
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キーワード | 脳・神経 / 脳血管病 / 体内塩分貯留 / エストロゲン / 脳動脈瘤破裂 / ミネラルコルチコイド受容体 |
研究概要 |
脳動脈瘤が男性に比べて女性に多く発症し、特に閉経期以後がに多く発見されるという疫学的データに基づいて、我々は独自にエストロゲン欠損・血行力学的負荷・高血圧誘導・食塩負荷による雌性ラットの実験的脳動脈瘤モデルを確立した。このモデルを用いていくつかのタイプの異なる薬剤による基礎的な治療研究を行った結果、“ミネラルコルチコイド受容体阻害剤(MRB)"が最も脳動脈瘤形成・増大を抑制することを見出した。一方MRアゴニストは血圧上昇が軽度であるにもかかわらず、脳動脈瘤形成を高血圧ラットより多く発生することを認め、脳動脈瘤形成における塩分との関係を検討する必要性があるという着想に至り、検討の結果、卵巣摘出ラットにおいては塩分負荷によって、血圧に影響なく、動脈瘤形成頻度が上昇することを見出した。これに対し、Na利尿作用を有するangiotensin type 1受容体阻害剤は動脈瘤形成を血圧に影響のない用量で抑制した。脳動脈瘤形成に関与するメカニズムとしてエストロゲン欠乏状態では水分とは独立して体内に貯留されるwater-free Naの蓄積が関係しており、その分子機序として血管壁に発現するNa輩出ポンプのサブタイプであるATP1α3の発現低下と関係する可能性を示唆した。これらの知見はHypertensionに投稿、受理された(Hypertension. 2012;60:1309-15)。これまでの基礎研究から得た知見をもとに、現在、MRBのeplerenoneを用いて、ヒトにおけるパイロット試験を実施している。目標の100例にもう少しで到達する段階にきており、ヒトでも体内Na貯留の低下が見られている。なお手術適応例以外の未破裂脳動脈瘤について現在変化は見られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の主な目的は、脳動脈瘤破裂モデルの確立である、脳血管壁への血液動態変化の誘導や脳血管壁への炎症や血管壁を脆弱化する薬剤を投与し、さらに脳動脈瘤破裂が高率に生じるかを検討中である。モデル確立後には病態の解明および薬物投与を行い、臨床応用が可能かを検証する。
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今後の研究の推進方策 |
臨床パイロット試験と並行して基礎研究での検討を行う。 1) 現状の卵巣摘出ラット脳動脈瘤モデルにおいて、破裂頻度が低いため、血液動態変化を負荷したり、試薬を用いて破裂頻度を増加させるための検討を行う。 2) 脳動脈瘤破裂モデルが確立された場合は、脳動脈瘤形成抑制作用が認められたMineralocorticoid受容体拮抗薬であるeplerenone、phosphodiestrase阻害剤、ARB、エストロゲン受容体刺激剤Bazedoxifene acetateによる破裂抑制効果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は計画通りに遂行したが、少額の物品費残額が生じたため、次年度の試薬購入費として使用したい。 試薬の購入
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