研究課題/領域番号 |
24592139
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
横山 高玲 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00347329)
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研究分担者 |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (40244496)
川原 信隆 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60214673)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | IGF-1 / IGFBP / cerebral ischemia / neuroregenesis |
研究概要 |
インスリン様成長因子-1(以下、IGF-1)は、神経保護及び神経再生作用を有する生体活性物質の一つである。このポリペプチドは、成長ホルモン(GH)の刺激で主に肝臓で分泌され、低酸素―虚血を代表とする様々な侵襲による神経細胞死を減弱させると言われている。一方、IGFに結合する蛋白(以下IGFBP)は6型報告されており、中枢神経系でIGF-1との作用で重要なのはIGFBP-2と言われ、神経保護・再生・増殖に関与していることが報告されている。IGF-1、IGFBP-2個別には、それぞれ膨大な研究成果がある。しかし、我々の研究は、より臨床的実践的なIGF-1投与法の検討、そのIGF-1投与法による神経再生の程度とその詳細、IGF-1/IGFBP-2の同時投与による上乗せ効果を検討するものであり、ここで得られる結果は全てnovelなものとなる。 当該年度は、薬剤投与効果判定の前段階として、脳虚血侵襲動物モデルの作成と脳梗塞範囲の検討を行った。動物はLong Evans Ratを使用。Chenらのモデルを採用し(Chen et al. Stroke. 17: 738-743, 1986)、isofluraneによる全身麻酔下に、片側中大脳動脈と総頸動脈を永久閉塞し、対側総頸動脈60分遮断を行った。2日後に脳を摘出し、TTC染色を行った。結果はコントロール群と比較して脳体積で40%の梗塞が認められた。生存率は100%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、平成24年度中に行う事項として以下の項目が挙げられる;(1)虚血侵襲手術:全脳虚血あるいは局所脳虚血 (2)IGF-1投与:腹腔内ワンショット (3)虚血脳侵襲保護効果・神経再生効果の評価:生理学的検査(筋力テスト、Rotarod test)、脳梗塞巣の体積測定、BrdU陽性新生細胞数計測、発現タンパク量(IGF-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGF-1 receptor)定量、新生神経細胞マーカーによる免疫染色。 しかし、実際には、局所脳虚血モデルの作成までにとどまったことにより、目的の達成度は遅延している。その理由は、①全脳虚血モデルでは、生存率が低いため、より生存率の高い、局所脳虚血モデルに変更せざるをえなかったこと。②局所脳虚血モデルの条件設定に難渋した。(a) 脳梗塞体積のばらつき (b) 脳虚血による麻痺症状の有無 (c)生存率のばらつき。などが考えられた。 しかし、最終的に前述の結果で示した条件設定により、安定した局所脳虚血モデル作成が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度中に行う事項として、昨年度(平成24年度)行う予定であった以下の項目について、引き続き検討していく方針である。即ち、(1)虚血侵襲手術:局所脳虚血モデル作成 (2)IGF-1投与:腹腔内ワンショット (3)評価:生理学的検査、脳梗塞巣の測定、BrdU新生細胞数計測、発現蛋白量、免疫染色、である。 同時に、IGF-1/IGFBP-2の併用実験の前に、IGFBP-2単独投与実験を先行する方針である。 主として、動物(ラット、マウス)購入ならびに飼育・処理、破損した手術器具、試薬・抗体・麻酔薬などの消耗品に研究費を使用することになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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