研究課題/領域番号 |
24592140
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
露口 尚弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50295705)
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研究分担者 |
高見 俊宏 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20305626)
足立 善昭 金沢工業大学, 付置研究所, 准教授 (80308585)
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キーワード | 脳磁場 / 低磁場MRI / MEG / SQUID |
研究概要 |
昨年に引き続き小動物の生体磁場計測装置と低磁場MRI装置、単独での測定を行った。 動物実験用小型MEG:前年はてんかんラットの脳磁場において異常波を安定して観測できた。本年度では対象をマウスにしたが、異常信号は検出できたもののSNが小さいため安定した観測が困難であった。 低磁場SQUID-MRI :装置は大阪市立大学に設置されていたが、ハードシステムの不具合があり、実験は金沢工業大学で行った。コイルセットの大きさは中心の直径40 mm の球領域を計測領域として設定し、生体磁気計測とMRI計測を同一の装置で行うため,LTS-SQUIDを信号検出センサとして使用,コイルを介して電源回路から誘導される磁気ノイズを低減させるため,ピックアップコイルを同軸2次微分型とした.前年ではサンプルの水にたいしNMR信号の検出とNiCl2 水溶液を満たしたファントムにおいて2次元イメージング画像を描出できた。本年はin vivo によるマウス頭部のMRI計測をおこなった.対象は右大脳半球にヒト由来グリオーマ株を移植したヌードマウスとし麻酔導入後頭部がコイル中心になるように固定し計測を行った.この観測された信号を3次元フーリエ変換演算によって2D構成した.脳位置の確認のため超低磁場MRI計測直後に,永久磁石型MRI装置(0.2 T, GE Signa Profile)により画像を取得し参照した.超低磁場MRIによって得られた信号の位置が,永久磁石型MRIによって得られたマウスの脳の位置と同じ位置から得られていることが分かった.しかし、移植した腫瘍の位置は明瞭に検出できなかった。 本年度はマウスにたいしそれぞれの実験を行ったが、検出力、分解能において実用には不十分であることが判明した。しかし、データが検出できたこと自体に意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、小動物の生体磁場計測装置と低磁場MRI装置を組み込むための設計を行う予定であったが、装置の低磁場MRIのハードの不具合のため装置を組み込むことが物理的に困案になった。 低磁場MRIでの雑音が多く安定しないのはコイルが予想外に熱を持つためと考えられ、問題解決にはさらなる工夫が必要である。 液体ヘリウムの品薄のため研究施設への供給が少なくなり、価格の上昇のため実験回数を減らさざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスのてんかん波を観測するために、シールドルーム周りのハード的な雑音除去の工夫を行う。 信号源の解析のため参照小型コイルの開発を行う。 低磁場MRIでは熱による信号の不安定性を軽減するため、短時間で測定を行えるようシールドルーム内の環境の調整と最適な測定条件の検索を行う。脳腫瘍の判別が可能になることを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
ハードのシステムトラブルにて実験回数が減ったため。 液体ヘリウムの購入にあてる。
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