既年度に継続して小動物生体磁場計測装置(MEG)と超低磁場MRI装置での計測を行った。前者にたいしては一定のデータを得られたため、今年度は後者の研究を中心に研究をすすめた. 超低磁場MRIでの画像の解像度のブラッシュアップを図るための測定条件の検討をおこなったが、適切条件が見つけられなかった.その原因のひとつである励磁コイルは導線の発熱にたいし導線を液体窒素で冷却した.ノイズは軽減したものの十分な解像度での画像化には至らなかった.超低磁場MRI装置において測定条件の最適化よりもハードの大幅な改良が必要と考えられ、MEG同時計測についてはまだ検討する余地が多くあると考えられる. 超低磁場MRIでの計測のまとめ ① 腫瘍細胞のT1緩和時間計測: 対象を組織片として異なる三つの生体組織のT1時間計測を行った。組織は病理検査によってa)腫瘍組 織がほとんど含まれていない組織、b) 神経膠腫(グリオーマ)、c) 腎臓がんからの転移脳腫瘍と認められた組織片とし、サンプルボックスに充填し計測した。その結果、異なるT1時間を得ることができた. ② 小動物(マウス頭部)のMRI計測: 信号位置の確認のため超低磁場MRI計測の直後に永久磁石型MRI装置(0.2 T)により画像を取得して比較を行い、超低磁場において検出したMR信号が、マウスの脳の位置と同じ位置から得られていることが判明した.
|