研究課題
基盤研究(C)
平成24年度施行した方法と対象症例:脳主幹動脈の慢性閉塞症例24例に対し下記の検査を行った。PETを用い、脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、脳酸素代謝量(CMRO2)、脳酸素接種率(OEF)を測定した。さらに、iomazenil SPECTを用い大脳皮質神経受容体機能を測定した。最後にFRP-170 PETにて脳低酸素細胞を測定した。神経心理検査として、WAIS-R、WMS、Rey testを行った。血行再建術後に再度同様の検査を繰り返した。結果の解析:24例中4例でFRP-170 PET上脳低酸素細胞が検出された。この部位ではすべて「OEFの上昇+CMRO2の低下」を認めた。これ以外の条件下では、脳低酸素細胞は認められなかった。また、この部位では、iomazenil SPECT上大脳皮質神経受容体機能の低下が認められた。脳低酸素細胞をもった症例で血行再建術を行い、術前後のデータが得られたのは1例のみであった。この症例では、血行再建術後にOEFの正常化とともに脳低酸素細胞の消失を認めた。また、この部位では、低下していたCMRO2および大脳皮質神経受容体機能の改善を認めた。また、この症例は神経心理検査上明らかに術後に認知機能が改善していた。考察:本結果から、「1)脳主幹動脈の慢性閉塞による慢性脳虚血には低酸素細胞が存在することがあり、その存在条件はいわゆるPowers stage2から3にかけてである。2)この低酸素細胞は血行再建による血流の改善で消失するとともに、本来の働きを取り戻し、結果として認知機能も回復する。」ことが示唆された。平成25年度の展望:症例を増やし、上記の考察を確たるもにする。
2: おおむね順調に進展している
平成24年度の対象症例は25例を予定していたが、24例を施行できた。また、脳主幹動脈の慢性閉塞による慢性脳虚血には低酸素細胞が存在することを証明でき、その存在条件の目星がついたことも収穫である。
当初の計画通り、平成25年度も25例を対象とし、全体で50例を目標とする。平成24年度の比率で低酸素細胞が検出できれば、十分海外の著名な学術誌に掲載できるデータとなる。一方で、低酸素細胞を持っている症例の術後のデータをもっと増やす必要がある。これは、別な論文として投稿できると考えられる。
平成25年度は、脳主幹動脈の慢性閉塞症例25例を対象とする。各々の症例にPETを用い、脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、脳酸素代謝量(CMRO2)、脳酸素接種率(OEF)を測定する。さらに、iomazenil SPECTを用い大脳皮質神経受容体機能を測定する。最後にFRP-170 PETにて脳低酸素細胞を測定する。認知機能検査として、WAIS-R、WMS、Rey testを行う。血行再建術後に再度同様の検査をすべて繰り返す。上記の各検査に研究費を用いる予定。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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