研究課題
脳主幹動脈の一側性慢性閉塞症例25例を対象とした。各々の症例にPETを用い、脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、脳酸素代謝量(CMRO2)、脳酸素接種率(OEF)を測定した。さらに、FRP-170 PETにて脳低酸素細胞を測定した。認知機能検査として、WAIS-R、WMS、Rey testを行った。血行再建術後に再度同様の検査をすべて繰り返した。PETのデータをSPMを用いて標準化した。過去2年間系38例において、中大脳動脈の灌流域をSPM上で前頭葉、頭頂葉、側頭葉の3つの関心領域に分け、各PETパラメーターの左右比をとり、脳血流量(CBF)、脳血液量(CBV)、脳酸素代謝量(CMRO2)、脳酸素接種率(OEF)と脳低酸素細胞密度を比較した。38例×3=114関心領域において、CBF比は脳低酸素細胞密度比と弱いの負の相関、OEF比は脳低酸素細胞密度比と強い正の相関を認めた。CMRO2比と脳低酸素細胞密度比とは相関を認めなかったが、脳低酸素細胞密度比の高い関心領域はCMRO2比の中等度低下域に集中していた。脳低酸素細胞密度比の高い関心領域の存在条件を検討したところ、OEF比の上昇かつCMRO2比の中等度低下であった。この結果は現在、論文作成中である。なお術前後の認知機能変化の定義のために、血行再建術を行った症例において、神経心理検査を行い、認知機能術後改善あるいは悪化の科学的定義を行った。この結果は今年度論文発表できた。
2: おおむね順調に進展している
当初の目的である脳主幹動脈閉塞による慢性虚血脳における低酸素細胞の存在が証明でき、またその存在条件も解明できたのは予定通りである。また、これは新発見である。
現在、血行再建術を行った症例の術後のデータを解析中であり、低酸素細胞の可逆性に関する検討と認知機能への影響を検討する予定である。
症例登録が1例繰り越しになり、端数分も繰り越しとした。次年度で繰り越し分の登録を行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件)
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