研究課題
基盤研究(C)
症候性内頚動脈閉塞性病変を持つ患者において、positoron emission tomography(PET)でのoxygen extraction fraction(OEF)の上昇は、すなわち貧困灌流は、将来の脳虚血発作を起こす独立した予測因子である。本研究では、123I-iomazenil(IMZ)single photon emission computed tomography(SPECT)の後期像で表される大脳皮質のベンゾジアゼピンレセプター結合能(benzodiazepine receptor binding potential、BRBP)画像を脳血流SPECT画像で除した計算画像が、PETにおけるOEF画像に相関することを明らかとした。PETは短寿命右各種を使用することから同一施設内にサイクロトロン併設の必要性があり汎用性が低い。貧困灌流の検出手目的に広くはsingle photon emission computed tomography(SPECT)でのアセタゾラミド反応性の低下を検出方法が用いられているが、本研究ではSPECT-IMZ集積率 / CBF比による貧困血流の検出精度はアセタゾラミド反応性の低下によるそれと同等であることが明らかとなった。また、IMZ SPECTの早期像がCBFを表すことを利用し、IMZ SPECTの後期像を早期像で除した計算画像はPETによるOEF画像と相関し貧困灌流を検出できることが明らかとなった。頚部内頚動脈剥離術後の認知機能障害について、MRIテンソルイメージングを用いて解析を行い、白質のFA値の低下が認知機能障害に強く相関することを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
虚血再灌流により生じる過灌流は時に脳損傷を引き起こす。発生原因として虚血の程度のみならず元々存在している脳循環予備能の低下が重要な因子である。脳循環予備能はPETを用いて測定されるが、汎用性に乏しいためダイアモックス負荷SPECTで検討されることが多い。しかしながらダイアモックスには様々な副作用が存在し問題がある。本研究では現在までの検討において、ダイアモックス負荷によらない新たな手法で脳循環予備能が評価可能であることが明かとなった。いくつかの脳血管障害において重要な新たな指標と考える。また、他の解析項目においても、別な角度からの脳循環代謝障害に対する検討を進行させており、興味深い結果が得られ始めている。
これまで得られた知見を積極的に国内外に広く報告していく共に、現在進行中の検討項目を推進させ、新たな脳循環代謝障害指標の確立を進めていく。対象症例の蓄積及び臨床治療、データ収集は順調であり、研究期間内にデータの優位性は充分示せると予定である。また、次年度は虚血前と虚血後の血液サンプルを比較することにより脳虚血の指標を明かとする分子生物学的解析を進めていく。
該当なし
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 1件)
NMCC共同利用研究成果文集18
巻: 18 ページ: 13-17
巻: 18 ページ: 7-11
巻: 18 ページ: 1-5
Cerebrovascular Diseases
巻: 34 ページ: 358-367
10.1159/00034305
東北脳循環カンファランス
巻: 18 ページ: 23-27