研究課題/領域番号 |
24592144
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉田 研二 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10316367)
|
キーワード | 脳虚血 / 脳血管障害 / プロテオーム |
研究概要 |
内頸動脈狭窄を有し内膜剥離術の適応となる患者を対象に、123I-IMP SPECT及びPETを用いて脳循環解析を行った。脳血流量および脳酸素摂取率から算出した。過灌流を呈した症例の中には高次脳機能障害や神経脱落症状を呈することがある。これらの病態をとらえるため123I-IMZ SPECTによるneuron densityの測定や高次脳機能の検査を術前術後に行った。これにより得られた新しい見地について、学会発表と論文発表を行った。 内膜剥離術中に頚静脈からのサンプリングをおこない虚血中及び再灌流における頸静脈血中のラジカルの動態解析を行う予定とした。脳虚血に特異性が高い頚静脈血中蛋白の探索として神経細胞障害やグリア細胞障害に起因していると思われる逸脱蛋白の探索を行う。当初予定していた手法(術中脳梗塞が発生してしまった症例のサンプル中において、各サンプルから蛋白抽出を行い、それぞれを二次元電気泳動サブトラクションでスポットを拾い上げ、質量分析機でアミノ酸の配列を決定し、ターゲット分子を同定する。脳虚血特異的マーカーへの応用を検討する)以外に、近年触接サンプルからMSを用いてタンパク質のアミノ酸シークエンスを比較して、簡便にサンプル間の蛋白発現プロファイルを検討できる手法が市場に導入された。サンプル中の蛋白を網羅的に解析可能であり、当初の予定を変更し、この手法を用いて解析を行うこととした。しかしながら検査費用が高額で有り、単年度の予算では思考できないため、今年度の予算の大半を次年度に繰り越しこの解析を行う予定とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
123I-IMP SPECTは島津社製HEADTOME 080,核種は123I-IMPを用い、定量法はautoradiography法を用いる。Acetazolamide 1g静注前後に脳血流を測定することにより,脳血管拡張能を定量した。PETでは島津社製HEADTOME IVを用いた。脳代謝の指標としての脳酸素消費量の測定には15O-水およびO2を用い,脳血流量および脳酸素摂取率から算出した。123I-IMZ SPECTによるneuron densityの測定や高次脳機能の検査を術前術後に行った。新たに、MRIを用いた脳温測定の新たな技術を確立し、またこれを用いて慢性脳虚血慢性脳虚血患者の認知機能障害を外科的に改善できるかどうかの予知について報告を行うことができた。これら以外にも脳循環改善がもたらす認知機能改善についての解析とその予知について十分な報告が今年度も行うことができた。術中の静脈血解析では、ほぼ毎週順調にサンプリングを行うことができており、来年度の解析に十分な量が確保された。
|
今後の研究の推進方策 |
脳循環検査に及び解析についてはこれまで通り進めていく。8月にはSPECT機器が最新型にアップデートされる予定であり、これまでにもまして詳細な解析と新たな見地の発見が期待される。術中静脈血の解析では、まとまった症例サンプルに対して、およそ6月をめどに網羅的な測定を開始する。得られたデータの解析を行い評価検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
外部検査委託費の中で、タンパク質発現プロファイル解析にかかる費用が高額で、単年度の会計では十分量の処理ができない。該当年度はサンプリングに徹することとして使用予算を圧縮し、次年度使用額を増額させることで解析を完遂する予定としたため。 当該年度はサンプリングに徹した。次年度は得られたサンプルの網羅的解析を順次行っていく予定である。
|