研究課題/領域番号 |
24592146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
田村 学 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80453174)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / フランス / Neurospin |
研究概要 |
白質データの入手に向けての健常人脳データ取得に関して学内倫理委員会での承認を得た(東京女子医科大学倫理委員会承認番号1955号)後に日本人健常脳収集に向けた準備を行った。白質線維のネットワークに関しては、現在東京大学と共同研究を開始し、専用ソフト(FSL及びDTI tool)を入手し従来のDeterministic methodで十分描出できなかった範囲の白質線維描出能力改善できる可能性をもつProbabilistic methodを導入した解析を行っている。現在、テスト用としての正常脳撮影データについて6名分収集し、一般正常人に運用できるようなシミュレーションを開始しており、6軸と30軸の撮影比較検討し最適な軸数の決定とtracking技術の迅速化を図っている。購入した研究用コンピュータに導入され、データ解析が加速している。 同時に解析を行っている正常脳のGyrationについては結果がMRI Based Sulcal Pattern Analysis for Diagnosis and Clinical Application in Neurosurgeryの題でComputer Aided Surgery, Proceedings in Information and Communications Technology, 2012, Volume 3, 135-143として論文化され、疾患脳のMRI解析に向けての運用が進むこととなった。 また、26-27年度で神経線維のTrackingをMedINRIA(Tract解析ソフト)で臨床脳に活用予定であるが、実際の使用前評価を24例のグリオーマ症例のFA解析で試用開始して実際の臨床症状や検査所見と比較し、結果との比較において一定の評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
50名の収集予定のためのMRI撮像シークエンスの設定の最適化が十分に進んでいないため、迅速なパラメータの設定を早急に行う必要がある。ただし、神経線維描出及び解析に十分な正常脳については50名以下で行える可能性があるため、早急な検討と同時にデータ収集、さらにT1WI画像との融合作業を行うようにする。
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今後の研究の推進方策 |
正常脳のMRI解析から疾患脳MRI解析への橋渡しのための研究を加速させる。皮質形成異常患者の診断及び治療に難渋している小児科領域と共同研究に向けた取り組みを行い、病態解明と共に診断治療に応用するプロジェクトを立ち上げる予定である。 白質線維の描出と術前評価は特にグリオーマ症例について臨床応用としての成果が期待され、実際の臨床症状と合わせた解析を進める。機能構造が形態に影響していることの実証としては海外共同研究者と共に国際情報交換をより活発化させる。具体的には、Dystonia患者解析について研究合意が得られているため今後MRIの解析を進めることが可能である。神経線維の画像活用についても広く脳外科領域に普及させることで、より研究をアピールするようにする。 上記の臨床応用についてはそれぞれが、実際の手術や治療手技に応用し反映されると共に実証が可能である。症例数の蓄積により、より確実な手技の提供と共に今後の脳神経外科に対する発展が見込まれるため、継続した取り組みが必要と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者へのMRI撮影数が増えると予想されるため、適正な謝金の拠出を行うと同時に、研究手法の中心的な議論をまとめる必要から海外研究協力者へのより綿密な打ち合わせに研究費の使用を予定している。特に解析ソフト開発者との交流にはFranceにあるNeurospinのMangin氏と、機能外科や発達に関する研究デザインの打ち合わせについてはMarseilleのRegis氏と積極的に意見交換を行うようにする。 また、データ管理及び解析に関する適正な使用、論文化や成果報告にも前年度と同様、活発に行うようにする。
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