研究課題/領域番号 |
24592151
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉山 慎一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30623152)
|
研究分担者 |
遠藤 俊毅 東北大学, 大学病院, 助教 (00535370)
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70451630)
|
キーワード | ドラッグ・デリバリー |
研究概要 |
本研究の目的は、脊髄へのドラッグ・デリバリー法の開発である。近年、脳・脳幹において、局所薬剤送達法:Convection-enhanced delivery法の臨床応用が進んでいる。これを脊髄へと応用し、脊髄-血液関門の存在により従来の静脈内投与では困難であった、脊髄実質に対する薬剤送達を可能にしようと企図するものである。 平成24年度は、正常ラットを用いた動物実験を行い、脊髄に注入用のカテーテルを留置する方法を確立した。この確立した方法を用い、CED法によって脊髄灰白質へと十分な薬剤送達が可能であることを証明した。さらに、CED方による薬剤投与における灰白質と白質での薬剤分布に大きな差異があることを明らかにしたほか、コンピュータ・シミュレーションによる薬剤分布の定性的評価を行った。 これらの研究成果をふまえ、平成25年度は、正常ラットを用いた動物実験およびコンピュータ・シミュレーションによる数値実験を継続し、薬剤分布の定性的評価に加え、定量的評価を行った。CED法を用いて薬剤を灰白質へと投与する場合、白質への投与と比較すると、頭尾方向に約0.8倍の分布が得られることが分かった。さらに、灰白質における薬剤分布は、注入部位を中心としており、これをグラフ化した。これは、CED法を臨床応用する上で、治療前の薬剤分布評価に極めて重要な知見である。 さらに、脊髄におけるCED法の安全性を検証すべく、カニクイザルを用いた安全性試験の実施に向けて実験動物を購入し、東北大学動物実験施設にて飼育、環境への順応を待っているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、CED法の脊髄への臨床応用を念頭に、カニクイザルを用いた安全性試験を計画していた。カニクイザルを購入し、東北大学動物実験施設に搬入、飼育しているが、現在、実験動物が環境に適応するのを待っているところである。脊髄へのカテーテル留置を行う実験については、平成26年度に行うことを予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒトへの臨床応用を念頭に、カニクイザルを用いた安全性試験を予定している。現時点では、ラットにおいて確立した方法論を、カニクイザルを用いた実験に適応することを考えている。 さらに、薬剤が分布した後の挙動を、コンピュータ・シミュレーションによって予測することを試みている。具体的には、注入した薬剤が脊髄実質から排出される速度を計算によって求める。これにより、とくに長時間での薬剤注入を行う際に薬剤のwash outが無視できない場合の、コンピュータ・シミュレーションの精度を高めることが可能となるであろう。
|