研究課題/領域番号 |
24592154
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中冨 浩文 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10420209)
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研究分担者 |
齊藤 延人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60262002)
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キーワード | 神経機能 / 持続モニタリング / 手術科学 |
研究概要 |
【目的】聴神経腫瘍の外科治療において用いる、病的蝸牛並びに顔面神経の“機能を見える化”する新たな術中持続神経核、神経根モニタリングの有効性を検証した。【方法】対象は、2006-2011年に手術を施行した聴神経腫瘍連続90例である。全例で、蝸牛神経背側核活動電位(AEDNAP)と顔面神経根誘発筋電図(FREMAP)を持続モニタリングした。リアルタイムで現在の測定波形、最大振幅値を表示し、手術開始時点と比較しての温存率をリアルタイムで表示、記録し、かつ手術全行程の温存率のトレンドを表示する機能を有する。二つの神経の機能が、温存率として“見える化”され、手術の全行程が見て一目で分かる。いつ、どこで、どの操作を行ったときに、どのように反応が低下し、どのように対処したら、どう回復したかが一目瞭然で、全での電気生理情報が記録されるシステムを開発運用してきた。患者、腫瘍、手術中の全電気生理データを含めた包括的データベースを作成した。多変量解析を用いて、術後神経機能予後との相関関係を解析した。【結果】1)術前後で同クラスの聴力温存、同グレードの顔面機能温存と有意に相関する因子は、ロジスティック解析ではそれぞれAEDNAP, FRMAP温存率最終値であった。2)ROC解析では、AEDNAP温存率最終値が35.5%以上、FREMAP温存率最終値58.5%以上で、同クラス、同グレード機能温存率が有意に優れていた。個々の神経のトレランスが明らかとなった。【結論】術中持続神経核、神経根モニタリングによるリアルタイムフィードバックを有効活用することは,神経機能温存成績向上に有効であることが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
聴神経腫瘍に関する本モニタリングの有効性は、89例で論文化し、現在Journal of Neurosurgery誌でrevision中である。
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今後の研究の推進方策 |
神経機能を見える化する本モニタリングの小脳橋角部の髄膜種18例で、有効性を検証し論文化する見通しである。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね計画通りに使用したが、英文校正一件を次年度に回したため、次年度使用額が生じた。 英文校正代として使用を予定している。
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