研究課題
脳スライスを用いた光学計測に関しては、脳梁を介した左右大脳皮質の神経連絡イメージングが外傷モデルを用いて行われている。外傷の程度と神経シグナルの相関に関して検証中である。また、正常およびパーキンソンモデルラットを用いた線条体ー淡蒼球、黒質緻密部ー網様部間の神経連絡と経時的な変化に関して検討中であり、今年度には学会発表ならびに投稿が可能と思われる。また光学計測用色素に関して基礎的な検討を行い、至適条件を検討し発表している。(J Membr Biol. 2013)このように基礎的な検証は十分に進んでおり、論文発表も開始されている。その一方でパーキンソンモデルラットへの胎仔細胞移植後のシグナル伝達の評価のみ不安定なデータしか得られない状況が続いている。移植細胞の増量、測定時期の変更などの方法を検討しているが、いまだ十分な結果が得られていない。PETに関しては11C-4DSTの脳腫瘍における病理との相関を検証し、DNA合成能を可視化する上でその妥当性と有用性を示し発表してきた。脳腫瘍においてはKi-indexと取り込みに正の相関を認めている。血流などの影響を受けずかつBBBの破綻に依存しないことを示してきた。移植評価においても有用性が示せるものと考えており、次年度は動物PETを利用して、移植動物における移植細胞でのDNA合成をin vivoで検証することを目標としている。外傷モデルにおいては、移植を開始しており、行動評価等の基礎的検証を開始している。
2: おおむね順調に進展している
光学計測に関しては基礎実験が順調に進行しており派生する論文も作成されている。特に線条体ー淡蒼球、黒漆内部のシグナル伝達に関しての基礎的研究が進行している。現時点では細胞移植後のパーキンソンモデル動物にては、シグナル伝達の計測が認められない。引き続き移植細胞の増量など、条件を変更して継続予定である。PETでは昨年からの4DSTという新規リガンドについて脳腫瘍を用いて検討を継続している。病理組織像との高い相関を認めており、有用なPETトレーサーであると考えている。脳腫瘍の患者に置いて、DNA合成能の可視化における有用性と妥当性、および体内動態に関して検証を進めている。Nの追加を行っている段階である。外傷モデルにおける脳梁シグナル伝達も、外傷を定量化し、シグナル伝達との相関を検証中である。以上、基礎的検討は進んでいるが、移植後のシグナル伝達の評価のみ不安定なデータしか得られない状況が続いている。最も重要な点がやや進んでいないものの、その他の部位の進行が予想外に進んでおり、全体では概ね順調と評価した。
本年度はこれまでの基礎的検証をまとめ、論文として発表する。また、何とか本年中に移植後の脳スライスにおけるシグナル測定を目標とする。また、ラットを用いて、4DST-PETを用いた移植治療評価を検証する。移植後の光学計測が安定して成功していないことから、この典を特に重点的に検証する必要があり、さらに条件の検証をすすめていく。
動物実験が本年度も前年度と同様なレベルで継続されるため。また、東京都健康長寿医療センターでの動物PET実験が、移転による再稼働の遅れにより、やや遅れを要したため。動物PETに関する動物実験に特に使用する予定である
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