研究課題/領域番号 |
24592157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
浅川 哲也 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00469917)
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研究分担者 |
杉山 憲嗣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00235904)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パーキンソン氏病 / 脳深部電気刺激 / 分子イメージング / PET / MPTP全身投与サルモデル |
研究概要 |
今年度既定の研究計画より、以下の通り研究を行った。 1.新規パーキンソン氏病(PD)モデルサルの作成:2頭体重3.0kgのカニクイザルを用いた。サルを塩酸ケタミン 510 mg/kg(筋肉内投与)、ペントバルビタールナトリウム1015 mg/kg(静脈内投与)の麻酔下で仰臥位に固定し、そ頸部を消毒後、切開し大腿動脈を露出しイントロデューサーを挿入して血管を確保した。イントロデューサーよりカテーテルを挿入し、レントゲン透視下に左内頸動脈までカテーテルの先端を導く。挿入したカテーテルからMPTPを2 mL/minの投与速度で30 mL(0.3mg/kg)投与した。この6日後に、再度同様の操作にて右内頸動脈よりMPTPを投与した。全身投与のPDサルモデルを作成できた。 2.動物の行動判定テストのための訓練、施行、評価:モデル納入後(手術後1ヶ月)、サルPDスケール(PDRS)で、サルの症状を観察した。1番目のサル(サルF)の主な症状は、振戦、寡動と姿勢反射障害で、PDRSの点数は47点であり、重症なPDモデルを確認できた。2番目のサルの主な症状は無動で、PDRSの点数は53点であり、非常に重症なモデルを確認できた。2番目のサルは重症であり、全身状態が悪化し、平成24年8月13日死亡した。 3.サルFにおける、11C化合物でのPET計測:サルを塩酸ケタミン 510 mg/kg(筋肉内投与)、プロポフォール10 mg/kg/h(静脈内投与)の麻酔下で、四つのトレーサ([11C]Dopa(ドーパミン)、[11C]CFT(ドパミン・トランスポータ)、 [11C]MNPA(ドーパミンD2受容体)、[11C] D-depreny(MAOB))にて、サルPET計測を行った。これらのPET計測の結果より、サルのドーパミン系の状態を把握でき、全身投与のPDサルモデルの確立を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに実施した研究は、交付申請書に記載した研究目的と研究計画通りに、順調に進んでいる。今年度の主な研究の計画は新規パーキンソン氏病サルモデルを作成、又は作成したモデルの症状及びドーパミン系の状態を確認することである。本年度、我々は一頭のサルモデルを作成し、このモデルを用いてPDの症状をPDRSで観察し、ドーパミン系の状態を11CPETで計測し、PDサルモデルを確立し、次の研究が進められる状態です。ただ、一頭のサルは死亡してしまったので、来年度の研究計画は多少変化があるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
1.一頭サルは死亡してしまったので、一頭新規PDサルモデルを作成することになる。 2.STN-DBS手術を実施:細胞外記録システムを用いて、モンキー脳アドレスを参照(Saleem 2007)、サルSTNの3D座標を確定、サルのSTNとサイズを合わせた刺激電極をSTN内に埋め込み、STNDBSサルPDモデルを作成する。(3チャンネルの電極、R=500 kΩ、 φ=0.6mm, 長さ=5 mm)。サルは、food reaching testで、刺激の効果を確認し、最適な刺激のパラメーターを決定する。臨床と同様に60μsの持続時間と矩形波を採用し、tremorを停止される最低の電流強度を刺激電流として、Fig2.と同じような30Hz300Hzの刺激頻度での運動パフォーマンスを確認する。 3.無麻酔下、サルを固定具に固定、この二頭のモデルをDBS off, 30HZ、90Hz と 145Hzの頻度で電気刺激しながら、FDG-PET とH215O-PET計測を各2回ずつ実施する。(浜松ホトニクス SHR7700PETカメラ、FDG投与量は1Gbqに目安、60分のacquisition をし;H215O-PETは3.5Gbqに目安、90秒のacquisition をし; 画像処理ソフトはPmodで、解析ソフトはSPM 8を用いる) 4.最終的にサルの脳を取り出し、電極位置を組織学的に同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.一頭PDサルモデルは死亡してしまったので、一頭新規PDサルモデルを作成することになる(800,000 円)。 2.サル2回PET計測 (脳深部電気刺激on とoffの状態で、FDG一回と脳血流一回)(300,000円)
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