研究課題
近年、てんかんの病態は複雑なネットワークを形成していることが示唆されているが、てんかん原性領域の広がりやその詳細な機構は明らかでない。難治性部分てんかん症例において、時間的・空間的分解能に優れた脳磁図(MEG)を用いて、これまでの等価電流双極子法とは異なる空間フィルター法で解析して、発作間欠期てんかん性放電の時間的・空間的な広がりをもった可視化を行った。また、その手法の妥当性と一貫性を検証するために、非侵襲的な脳機能画像、特に正常被験者によるデータベースを基に統計的解析手法で得られたFDG-PETによるてんかん病態の関連領域の画像と比較・検討した。学会発表にて臨床的意義を検証して、学術論文を準備中である。しかし、他のモダリティーであるrs-fMRIによる、各解析法の妥当性と一貫性の評価は、十分な症例と一致した傾向をまとめることが期間内にできず、研究の継続とした。さらに、侵襲的な手法との比較・検討のために、頭蓋内電極による神経ネットワーク解明の手法として皮質皮質間誘発電位(CCEP)の手法を用いて、言語機能領域間でのネットワーク形成を解剖学的MRIと比較して証明し、臨床応用の可能性を示した(Yamao et al. 2014)。また、留置頭蓋内電極による皮質脳波での脳内ネットワークの分布と治療介入による動的変容に関しては、頭蓋内電極留置に伴うリスク評価を自験例でまとめて、学会発表・学術論文化することができた(Shibata et al. 2015)。これらのことから、非侵襲的・侵襲的な手法によるネットワーク解析と比較して、空間フィルター解析法の妥当性と臨床的意義を検証し、難治性てんかんの病態解明に知見を還元した。
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