研究課題/領域番号 |
24592160
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
香川 尚己 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444542)
|
研究分担者 |
保仙 直毅 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10456923)
橋本 直哉 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90315945)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 腫瘍幹細胞 / 神経膠腫 / 腫瘍内免疫 / WT1 / ALCAM |
研究概要 |
当科で得られた臨床検体を用いて、ALCAMおよびsALCAMのmRNAおよびタンパクレベルでの発現を解析する手法を確立した。mRNAに関しては、RT-PCRを用いβ-アクチンを内因性コントロールとして発現を定量的に評価した。Northern blot法にて分析し、発現差を比較し相関を検討した。また、免疫組織染色における陽性細胞の割合とmRNA量に関する相関性について検討を行った。さらに、兔疫組織化学的手法で得られた陽性率と臨床経過の検討を行った。WHO gradingや臨床成績(progression-free survivalやoverall survival、放射線・化学療法感受性や免疫療法感受性など)とともに、MRIを利用した腫瘍発生母地や再発形式とALCAM陽性率は相関することを100症例を超える献体を用いて後方視的に検討を行った。今後は、同様に腫瘍内でのALCAMの局在をリンパ球の局在を検討し、ALCAMが予後や免疫能に及ぼす影響を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した、臨床検体を用いたタンパクレベル、mRNAを用いた解析とともに免疫組織染色におけるALCAM陽性細胞の割合とmRNA量に関する相関性について検討を行えている。さらには、順調に症例数を増やして検討が出来ている。
|
今後の研究の推進方策 |
当院で悪性神経膠腫にて治療を行った臨床検体および再発性の悪性神経膠腫に対してWT1ペプチドワクチン療法行なった症例で、長期生存例と不応例について、WT1および HLA class I発現をRT-PCRおよび免疫組織化学的手法により検証する。さらに、腫瘍内浸潤リンパ球のサブセット解析として、CD3, CD4、CD8、CD79α陽性細胞群、制御性T細胞 (T reg)、マクロファージなど免疫担当細胞の腫瘍内および腫瘍周辺の動態を解析する。免疫療法からの逃避現象と腫瘍幹細胞との関係について検討を行う。さらに、CD8/ALCAM/CD6に関して蛍光抗体法を用いて多重染色を行い腫瘍内での局在を確認する。腫瘍内でのWT1およびALCAMの発現量の関連性、さらに脳腫瘍組織内での浸潤リンパ球サブセットについて解析する。 さらに、当研究室で現在まで蓄積してきた、神経膠芽腫の網羅的遺伝子解析結果を用いて、ALCAMおよびsALCAMの発現と遺伝子異常との関係について統計学的手法を用いて検討する。さらに、近年The Cancer Genome Atlas Networkにより報告された、神経膠芽腫に存在する遺伝子変異とcopy number variationを基にした4つのsubtype(proneural, neural, classic, mesenchymal)分類に当てはめ、ALCAMおよびsALCAMの発現との関係を考察する。また、さらにIDH1やMGMT、1pLOH, 19q LOHといった予後と相関する分子マーカーとの関連性及び病理学的特徴、放射線学的所見との関係についても検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
WT1および HLA class I発現解析のため、RT-PCRおよび免疫組織化学的手法のため、消耗品に使用する。さらには、基礎的な細胞培養や動物実験のために使用する。 また、glioblastomaのsubtypingのために、copy number variationを基にしたmicroarrayやRT-PCRに使用する。さらに、IDH1やMGMT、1pLOH, 19q LOHといった予後と相関する分子マーカーとの関連性遺伝子解析のため、使用する。
|