グリオーマは、いまだ予後不良な腫瘍である。本研究において、低悪性度グリオーマには存在せずに最も悪性度の高い膠芽腫特異的に存在する細胞として、HIF-1αを発現し静止期にある腫瘍幹細胞が特定された。それらは虚血性壊死巣と血管の間の領域(ニッチ)に局在していた。そのニッチを培養膠芽腫細胞spheroid内に再現したところ、HIF-1α発現静止期腫瘍幹細胞が出現し、spheroidの造腫瘍能が増強された。本研究により特定された腫瘍幹細胞とそのニッチは、グリオーマの予後不良な病態の中枢を担うと考えられ、その可視化に基づく新たな病理組織診断基準の確立は、グリオーマの予後改善への貢献が期待される。
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