研究課題/領域番号 |
24592169
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
花谷 亮典 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60304424)
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研究分担者 |
湯之上 俊二 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (20404478)
菅田 真生 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70437961)
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90212646)
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キーワード | てんかん / シナプス小胞蛋白 / SV2A / sinaptotagmin-1 / てんかん原性 |
研究概要 |
これまでのモデル動物を利用した検討結果から、凍結標本ではなくパラフィン包埋切片を用いても充分な評価が行えることを確認している。手術摘出の免疫染色においても、利便性が高いパラフィン包埋切片として作成した。H-E染色により、各摘出組織における大脳皮質の構造を確認した。今回までの検討対象において、免責組織学的検討に影響を及ぼすような、形成異常などの形態異常は見られなかった。本年度までに、SV2A、SNARE関連蛋白(synaptotagmin-1、SNAP25、VAMP2/synaptobrevin、syntaxin)についまでの検討を行った。これらの蛋白は、いずれも広範囲にびまん的に発現しているために、蛋白発現は解析ソフト(Image J, NIH)により、光学密度に置き換えて算定した。皮質脳波の所見をもとに、新皮質てんかんにおける焦点近傍領域(NCE-F)と切除範囲に含まれる中で過敏性が低い部位(NCE-LI)、内側側頭葉てんかんの手術に際して切除が行われた側頭葉外側皮質のうち、最も過敏性の高い部位(TLE-LI)と最も過敏性の低い部位(TLE-LI)の4か所における蛋白発現の差を検討した。SV2Aの発現は、TLE-LI、TLE-LI、NCE-LI、NCE-Fの順に低下した。SNARE関連蛋白では、NCE-Fでsinaptotagmin-1の優位な低下がみられた。その他のSNARE蛋白の低下は見られなかった。こうした結果は、これまで我々が報告した動物モデルの結果と相応するものであり、形態変化がない組織内においても、細胞興奮に関連して、シナプス小胞蛋白の変化が生じていることが示唆された。次年度では、臨床検査所見との相関についても検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね、当初計画した予定に沿って、研究が進行できている。SV2AとSNARE関連蛋白に有意な所見が得られたために、まずはここに注目して検討を進めた。遺伝子による検討を待つことなく、組織学的研究のみで想定した通りの結果が明確に得られたため、臨床検査結果との対比を先行して解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
ここまで、計画時に予想した結果が得られている。現在、その結果と臨床検査結果との相関について検討を進めている。今後は大脳皮質各層における発現の差異を確認するとともに、受容体との関連についても検討を進める予定である。
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