研究課題/領域番号 |
24592173
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
菅野 秀宣 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90265992)
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研究分担者 |
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 教授 (80164581)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経細胞新生 / 海馬 / てんかん / SV2A |
研究実績の概要 |
【目的】近年、てんかん原性の獲得にSynaptic vesicle protein 2A(SV2A)と神経細胞新生が注目をされている。本研究では神経細胞新生をSV2Aの安定化により抑制させ、その事がてんかん原性獲得を阻止出来得るのではないかとの仮説を検証した。【方法】マウスピロカルピンてんかんモデルを用い、レトロウィルスを介してgreen fluorescent protein(GFP)を海馬内に導入、発作によって誘発された新生細胞の可視化を行った。てんかん重積後7日、14日、28日に免疫染色を行い、新生神経細胞の成熟度とグリア細胞の出現を観察した。てんかん重積発作後にSV2Aと結合するlevetiracetam(LEV)を投与した群を作成し、未治療対照群、非発作群と比較した。また、最終年度は各々の時期におけるGFP陽性細胞のパッチクランプを行い、膜電位の測定を行った。【結果】未治療対照群では海馬歯状回で新生細胞が増加したが、LEV群では有意に抑制されていた。未治療対照群で新生された細胞の多くは28日までに消退した。新生細胞の形態は、未治療対照群では細胞体が大小様々で突起の伸展が不規則であるのに対し、LEV群では非発作群と同様に一定の大きさで均一な突起を有していた。早期に消失したGFP陽性細胞はssDNA陰性、NeuN陰性であったのに対し、後期にまで残る細胞はssDNA陰性、NeuN陽性であった。未治療群でみられた早期GFP陽性細胞のinput resistances(IR)は1.2GΩ-2.0GΩ、resting membrane potential(RMP)は-55mV~-70mVであったのに対し、28日後のものはIR300MΩ-1000MΩ、RMP-70~-80mVであった。また、GFP陽性細胞の一部はNG2にも共陽性となっていることが観察されたが、これらもLEV群において有意に減少していた。【考察】歯状回では発作により未熟な神経細胞が新生されるが、成熟することなく脱落していることが考えられた。それらはSV2Aの安定化により抑制されることが示唆された。
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