研究課題/領域番号 |
24592176
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 隆充 日本大学, 医学部, 教授 (50158284)
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研究分担者 |
大島 秀規 日本大学, 医学部, 准教授 (20328735)
小林 一太 日本大学, 医学部, 准教授 (20366579)
深谷 親 日本大学, 医学部, 准教授 (50287637)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳卒中後疼痛 / 脊髄刺激 / ケタミン / ドラッグチャレンジテト |
研究実績の概要 |
脳卒中後疼痛症例に対して、2本の電極を平行に頚髄硬膜外に留置することによって、半身の顔面、上肢、体幹、下肢に刺激感覚を誘発することができた。また、モルヒネ、ケタミン、ラボナールを用いたドラッグチャレンジテストでは、ケタミンが有効な症例に脊髄刺激の有効例が多いことから、患者選択に有用であることが明らかとなった。 脳卒中後疼痛27例に対してDual-lead SCSを用いたテスト刺激を行い、21例(77.7%)に慢性植え込みを行った。慢性刺激開始後12カ月の結果では、excellent(60%以上VASが減少)4例、good(30-60% VASが減少)11例、fair (VASの減少が30%以下)6例で、15例(71.1%)で満足できる効果が得られた。また、プレガバリン、抗うつ薬、抗不安薬の併用は、脊髄刺激の除痛効果を増強した。 15Hzでparesthesiaを誘発する通常の刺激で疼痛の治療を行いながら、運動麻痺を合併している症例を対象として、5Hzでmuscle twitchを誘発する脊髄刺激を施行し、運動機能の回復について検討した。5Hzでmuscle twitchを誘発する強度の刺激を1セッション5分、1日に5回繰り返すと、15秒間に可能な手の開閉回数が1か月、また握力が3か月の治療によって有意な回復を認めた(repANOVA, p<0.01)。 脊髄の後索刺激によって誘発されるmuscle twitchは、脊髄反射弓を経由して脊髄前角細胞を賦活するものと考えられる。また、脊髄後索刺激によってmuscle twitchを繰り返し誘発することは、廃用性の筋委縮や関節拘縮の予防のみならず運動麻痺の治療にも有用であることが明らかとなった。脊髄刺激を用いることによって、脳卒中後疼痛のみならず卒中後運動麻痺の治療も可能である事実によって、脊髄刺激のさらなる発展が期待される。
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