研究課題/領域番号 |
24592179
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
井内 俊彦 千葉県がんセンター(研究所), 脳神経外科, 部長 (80370881)
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キーワード | 神経膠腫 / 放射線治療 / 脳白質障害 / 放射線壊死 / 遺伝子変異解析 / 遺伝子メチル化解析 |
研究概要 |
IMRT を用いた大線量照射を行った119例の悪性神経膠腫患者の MRI 画像を詳細に検討し、放射線障害について精査。従来知られていた高線量照射領域内の壊死以外に脳室下帯の壊死の頻度が高い事を明らかにし、脳室下帯が放射線に対して脆弱であることを明らかにした。更に、脳室下帯に放射線壊死を生じると患者の認知機能障害が進行することも明らかと成った。従って、放射線脳障害を規定する因子解析に加えて、脳室下帯障害を規定する因子の解析も必要であることを明らかにした。 さらに、腫瘍側因子として放射線壊死との関連が指摘されている MGMT 遺伝子プロモーター領域のメチル化解析に関して、従来のメチル化特異的PCR法と、pyrosequencer を用いた定量的PCR 解析との間で、結果を比較検証し、pyrosequncing によって解析した CpG 76, CpG77, CpG78, CpG79 のメチル化解析の結果が、メチル化特異的PCR方よりも臨床像を良く反映することを証明した。これを元に IMRT 治療を行った47例の神経膠芽腫のメチル化解析を Pyrosequencing で行い、高線量領域・脳室下帯における壊死出現との間の関連を検証したが、どの CpG のメチル化も壊死との有意な関連は認められず、放射線障害出現に関して腫瘍側因子が関与していないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白質障害に加えて、放射線壊死に関する、腫瘍側因子の影響の解析を終了した。患者側因子の解析を目的とし、解析対照症例のリストアップを終了し、検体の調整も行えた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、次世代シーケンサーを用いた患者血液および腫瘍組織 DNA の遺伝子変異および SNP 解析を行う。既に検討対象とする10例はリスアップし、放射線治療後の臨床情報の入力も終えている。これらの症例の解析から、放射線障害に関与する遺伝子変化の候補を抽出する。さらに、validation として、さらに20例において検討を加え、個々の症例において安全な照射線量を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度、次世代シーケンサーの精度検証に時間を要したため、実際の解析を次年度に行う必要を生じたため、次世代、そのチップ代・試薬代などの次年度物品費を多く必要とすることが予測されたため、を次年度に繰り越す必要があった。 次世代シーケンサーを用いたゲノム解析のため、解析1症例に対しチップ代10万円・試薬代5万円を要する見込みである。次年度、10例の解析を行うため、これらの物品費に150万円を要する。さらに解析によって抽出された遺伝に対象を絞って validation を行う必要があり、SNP解析様に約30万円の試薬代を予定する。また、これらの解析結果を公表するため、学会参会費として約25万円を計上する。
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