研究概要 |
モデル作成は腰痛モデル(椎間板変性、骨粗鬆症、腰部脊柱管狭窄)、関節痛モデル(変形性膝関節症、変形性股関節)であった(マウス、ラット、家兎)。椎間板変性は腰椎椎間板穿刺モデル、尾椎椎間板穿刺、圧迫モデルを用いた(Orita et al., Spine 2009)。脊柱管狭窄症モデルは伊藤の方法に従い作成すした(Ito et al., Spine 2007)。骨粗鬆症モデルは卵巣摘出後27週齢であった(Orita et al., Spine 2010)。関節痛モデルは半月板、前十字靱帯を切離し、3ヶ月のものを使用した(Ochiai et al., Osteoarthritis Cartilage. 2007)。変形性股関節は炎症物質を投与して作成した(Nakajima et al., JBJS-Br 2008)。様々なモデルに対し、疼痛行動を検討した。疼痛行動は新規キャットウォークXT8.0(ノルダス社)システムを使用した。局所のサイトカイン量はELISAにて、また支配神経の高位、特性を免疫組織学的、脊髄でのin vivoパッチクランプの電気生理学的手法を用いて調べた。再生医療と疼痛の関連を調べるため、家兎変性椎間板、軟骨に対しては軟骨移植を行い、疼痛のマーカーとMRI T2、T1ρマッピングを用いその相関を検討した。現時点で、全てのモデルは作成済みであり、有意なデータが得られている.次年度の準備段階は整っていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実施計画 ヒトを用いた臨床的研究(画像診断を含む) 1) ヒト腰椎椎間板、膝関節、股関節標本の採取(ヒト標本の採取等に関しては千葉大学医学部倫理委員会にて承認済み)する。炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor alpha (TNF alpha), IL-1,6, COX-1, 2、疼痛伝達物質(substance P, CGRP)、神経栄養因子(NGF, BDNF, NT-3)、神経発芽の増加を計測する。これらはELISA、免疫組織化学を予定している。 平成26年度の研究実施計画 2) 千葉県内参加の病院における患者承諾のもとに検討を行い症例数を増加させる。疼痛強度、保存療法・手術療法を含めた成績、合併症、薬物療法・運動療法の選択と効果も検討する。さらに、画像診断として、椎間板変性や軟骨変性をMRI T2、T1ρマッピングを用いその変性を詳細に検討し、疼痛との関連を調べる。更に神経根障害に対する拡散MRIの方法を基礎に診断に困難とされる椎間孔部狭窄と疼痛との関連を検討する。慢性疼痛患者に対する、プロトン1.5Tまたは3.0TMRスペクトロスコピー(以下:1H-MRS)を用いて前頭前野、前帯状回の局所脳神経機能を測定することによって、慢性疼痛の病態を評価する。前帯状回、前頭前野の NAA濃度をLC modelを用いて解析を予定している(Watanabe et al., AJR2007, Eguchi et al., 2009)。
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