研究課題/領域番号 |
24592186
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村田 淳 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (20344997)
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研究分担者 |
大河 昭彦 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30312945)
山崎 正志 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50281712)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 坐骨神経結紮モデル / Noggin / アロジニア / Alzet pump / BMP4 / くも膜下腔 / astrocytes |
研究概要 |
【目的】今回の研究の目的は坐骨神経結紮によりNoggin 遺伝子が減少することがわかったことから、もし発現減少したNogginをくも膜下腔に補った場合、アロディニアの改善が得られるかどうか検討することである。またNogginのアンタゴニストであるBMP4をNogginとの組み合わせで投与することによりアロディニアの変化を惹起するかどうか検討することである。 【方法】CCIラットのくも膜下腔へのNoggin投与:坐骨神経結紮モデル作成後2週時点で、ラットL3/4椎間に Alzet Pump (2週間用) を用いてRecombinant human Noggin を投与、1週毎にvon Frey testを行った。これによりNogginの至適濃度を決定する。 CCIラットくも膜下腔へのBMP4 投与: CCI 2週後、同様に Noggin 投与群、Recombinant mouse BMP4投与、Noggin+BMP4投与の3群を作成、1週毎にvon Frey testを行った。Noggin投与により1週後にアロジニアの改善が得られたため、投与1週時点で組織切片を作成しGFAPとIba-1の蛍光免疫染色を行い、それぞれの輝度を定量し、PBS群と比較した。 【結果】CCI後2週経過時点でNoggin をAlzet pump(2週用)にいれて、くも膜下腔にチューブを留置した。 Noggin濃度は10nanoから10microgram/mlまでとし、PBSをコントロールとした。 2microgram/ml でアロディニアの軽減がみられたので、BMP4 2microgram/ml、Noggin+BMP4 について1週毎にVon Frey testを行いアロジニアの経過をみた。結果としてNoggin投与においてアロジニアの改善が得られた。 GFAPの蛍光免疫染色ではNoggin投与により抑制されている傾向があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nogginのくも膜投与の有効性について至適濃度の検討により2microgram/mlという濃度が得られたことで、当濃度を利用してさらなる実験が可能になっている。 さらなる実験とはアンタゴニストであるBMP4をNogginと投与することにより、Nogginの効果がキャンセルされるかどうか検討することである。 またNoggin投与1週間後にアロジニアの改善がえられることがわかったため、組織切片を作成しGFAP陽性アストロサイトや、Iba-1陽性microgliaが後角においてPBSと比較してどのような様態をとっているか現在検索中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究でNogginタンパクをラット坐骨神経結紮モデルのくも膜下腔投与を行い、2microgram/ml でアロディニアの軽減がみられた。 同濃度についてNを増やし、Nogginの最適濃度と決定できた。さらにNogginとそのアンタゴニストのBMP4 をNogginと一緒にくも膜下腔投与し、アロジニアの軽減がキャンセルされたため、Nogginの疼痛改善作用が明らかになった。 また組織切片を作成してGFAP陽性アストロサイトがNoggin投与により抑制されることがわかった。一方Iba-1陽性ミクログリアもNoggin投与により抑制されたが、P値は0.2と有意差は得られなかった。 今後の研究方針としてはGFAP陽性アストロサイトが減少することによりアロジニアが軽減した理由について検討する予定。
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