研究課題/領域番号 |
24592193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
明田 浩司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20422826)
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研究分担者 |
宮本 啓一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70252343)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 椎間板変性 / 椎間板性腰痛 / 成長因子 / 血小板 / 生体材料 |
研究概要 |
多血小板血漿 (PRP) 注入療法の確立に向けて治療の安全性ならびにその効果を予備的に確認するため、医師主導型の臨床研究を開始した。PRPの作製、活性化に関しては、当院輸血部と共同して自己血からの分離および活性化を試みており、臨床上の安全性を考え、PRPに自己血清および塩化カルシウム溶液を加えることにより凝固・活性化させる方法を用いた。“多血小板血漿 (PRP) を用いた椎間板修復療法”は腰椎椎間板症(椎間板性疼痛)患者を対象に行った。これまでの安全性試験(12症例)においては、治療後12ヶ月に亘り腰痛の著しい改善を認めた。12症例の平均年齢は35歳と低く、椎間板高狭小化の程度が1/2未満であり、明かな有害事象を認めた症例は認めなかった。これまでの臨床研究の結果より、PRP注入療法は椎間板変性が初期ステージ(椎間板高狭小化の程度が1/2未満)の症例に適応があると考えている。これまでの臨床研究により、安全性および有効性が確認されたため、本治療の確立に向けた無作為化臨床試験を行う。さらに、本治療に用いられているPRPに含まれる成長因子、サイトカインの同定を行い、椎間板治療に有効な成分を解析・同定する。 無作為化臨床試験に関してはこれまで3症例でPRP注入療法を行い、現在、治療効果に関して経過観察を行っている。PRP含有タンパク質の同定に関しては、iTRAQタンパク質発現・相対定量解析 (Filgen社) を行った。1症例のPRP上清および自己血清の2サンプルをAB SCIEX Triple TOF 5600システムにて解析を行った。両サンプル共に944タンパクが同定され、現在、その主要なタンパクに関して検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
無作為化臨床試験に関しては、現在、中-若年層の腰痛患者の外来受診数が少ないため。
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今後の研究の推進方策 |
県内の市中病院および整形外科開業医に若年-中年層の腰痛患者の原因に椎間板性疼痛が多く含まれていることを啓蒙し、椎間板治療の現状と今後の課題に関して認識を高める。これにより、大学病院への患者受診数を増やすことにより十分な症例数の中で臨床研究を行うことを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
PRP上清内に含まれている代表的サイトカインのELISAを行う予定。椎間板バイオマテリアルの開発費用。
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