研究課題
椎間板組織は変性とともに水分含有量の低下、線維化を来たし、組織断裂が生じる。これらの椎間板内環境、構造の変化と疼痛との関連性が指摘されている。活性化した血小板は多種の成長因子を分泌し、組織修復に寄与する。我々は血小板を高濃度に含む多血小板血漿(PRP)から分離された成長因子が椎間板細胞の基質代謝を促進させ、椎間板変性動物モデルの椎間板高を回復させることを報告してきた。多血小板血漿 (PRP) 注入療法の確立に向けて治療の安全性ならびにその効果を予備的に確認するため、医師主導型の臨床研究を開始した。PRPの作製、活性化に関しては、当院輸血部と共同して自己血からの分離および活性化を試みており、臨床上の安全性を考え、PRPに自己血清および塩化カルシウム溶液を加えることにより凝固・活性化させる方法を用いた。“多血小板血漿 (PRP) を用いた椎間板修復療法”は腰椎椎間板症(椎間板性疼痛)患者を対象に行った。これまで行ってきた、14症例の安全性および効果の再検討を行った。画像評価は、腰椎単純X線像側面を用いて、椎間板高および腰椎前弯角を計測した。治療開始より12ヶ月間に亘り、明らかな変化を認めなかった。また、腰椎MRI評価は、治療前後にてT2値を計測したが、明らかな差を認めなかった。疼痛スコアは治療後1ヶ月より低下し、12ヶ月間に亘り低値を維持した。また、治療効果と術前MRIを所見を比較検討すると、治療前MRI変性度と治療効果に明らかな有意差を認めなかった。椎間板炎、椎間板高低下、骨化などと有害事象は認めなかった。
2: おおむね順調に進展している
これまでの症例の安全性および治療効果の再検討を行った上で、対照群の登録を行っている。
多血小板血漿内に含まれるサイトカインの内、抗炎症性作用を有するタンパク質の同定を行う。さらに、これまでの臨床データの検討を元に、対照群のデータ集積および解析を進める。
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