研究課題/領域番号 |
24592194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森 幹士 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (30467386)
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研究分担者 |
今井 晋二 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90283556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | BDNF / 末梢神経障害 / 神経修復 |
研究概要 |
BDNFの末梢神経障害後の神経修復における重要性の証明には実験動物(C57BL/6およびBDNFノックアウトマウス)を用いた.BDNFが正常発現しているC57BL/6マウスをコントロールとし、BDNFのみ欠いたBDNFノックアウトマウスと比較検討することで、BDNFの神経修復における重要性の具現化を試みました. 坐骨神経圧挫モデルは、上記マウスの左坐骨神経を露出し脳血管クリップで60秒間圧挫することにより作成した.坐骨神経圧挫の後、障害神経の修復状態について経時的(1、2、3、4、6、8週)に評価を行った.齧歯類では、末梢神経の修復能が高く2群間での差が小さく評価が難しいことも予想されたが、上記の圧挫時間や評価時期での評価に問題がないと判断し、これらを採用した. 免疫組織学的な検討にて、BDNFが正常発現しているコントロールマウスでは坐骨神経圧挫部位より抹消で明らかなBDNFの発現が認められたのに対し、BDNFが発現していないBDNFノックアウトマウスではその発現が認められなかった.この傾向は、4週経過時以降に特に明らかとなった.同様に、BDNFの発現が確認できたコントロール群では、Sciatic Functional Index (SFI)スコアによる機能的な評価成績が明らかに優れていることが確認できた.また、電気生理学的な評価においても、BDNFが正常発現しているコントロール群はノックアウトマウス群と比較して有意な回復を示すことを確認した. 以上の結果より、ロータロッドトレッドミルテストによる機能評価が今後残された課題のひとつであるが、BDNFが末梢神経障害時の修復に重要な役割を果たしていることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、BDNFノックアウトマウスを用いて、BDNFの神経修復における重要性を具現化することにあった.BDNFノックアウトマウスでは、末梢神経損傷部以遠におけるBDNFの発現が認められず、一部の機能評価、電気生理学的評価においても神経修復がコントロールと比較して有意に劣ることを見出すことに成功しました.ロータロッドトレッドミルテストを用いた機能評価が今後に残された課題のひとつであるが、BDNFが末梢神経修復に重要な役割を担っていることの証明におおむね成功し、研究自体は順調に進行していると考えています.
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今後の研究の推進方策 |
末梢神経障害局所へと動員された自家骨髄由来細胞が産生するBDNFの重要性の証明が今後の課題である. 末梢神経障害部位への自家骨髄由来細胞動員の証明にはGFPトランスジェニックマウスの使用を予定している.骨髄細胞のみGFPの発光を認めるGFPキメラマウスを作製すれば、末梢神経局所に自家骨髄細胞が動員されたか否かが明らかとなる.C57BL/6マウスに放射線を照射して骨髄細胞を死滅させ、その直後にGFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を移植し、骨髄細胞のみGFPの発光を認めるGFPキメラマウスを作製する.このGFPキメラマウスを用いて、平成24年度と同様にして坐骨神経圧挫による末梢神経障害を作製し、免疫組織学的な手法を用いて、挫滅部位の遠位側を継時的に観察し、GFP陽性細胞とBDNF陽性細胞の出現状況を評価する予定である.共焦点レーザー顕微鏡を用いて、GFP陽性細胞とBDNF陽性細胞との重複が認められれば、自家骨髄由来細胞が末梢神経障害部の局所に動員され、BDNFを賛成した証となると考えている. また、末梢神経障害部位でのBDNF発現については、現在報告されている9つのスプライスバリアントのうちどのバリアントが発現しているのかをRT-PCR法を用いてmRNAの発現を経時的に評価する予定である.また、発現しているバリアントの発現量はqRT-PCR法を用いての定量を予定している. 局所へと動員された自家骨髄由来細胞由来のBDNFの重要性の証明には、BDNFノックアウトマウスを用いて、骨髄細胞のみ正常なBDNFを産生することができるキメラマウスを作成しての実験を予定している.上記と同様な手法により骨髄細胞のみ正常なBDNF産生能を持つキメラマウスを作成し、これまでと同様に坐骨神経圧挫モデルを作成し、自家骨髄細胞が産生するBDNFの末梢神経修復における重要性について検討する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究環境の整備に向け、ROTA-ROD TREADMILL (MK-670) 1台と顕微鏡用デジタル画像システム(SHIMAZU DC-120) 1台の購入を設備費として予定しています. これに対し、RT-PCR法によるmRNA解析用に各種プライマーと、免疫組織化学染色法に必要なBDNFなどの抗体各種と関連試薬、実験用マウスとを消耗品としての使用を予定しています. 本研究課題に分野的に近い研究の多くは、国内の日本再生医療学会のみならず米国末梢神経学会などで報告されます.これらの学会に参加し最先端の知見を収集するとともに我々の得た知見を発表するために、旅費としても一部使用を予定しています.
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