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2012 年度 実施状況報告書

椎間板変性に由来する疼痛発生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24592196
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

前野 耕一郎  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70403269)

研究分担者 西田 康太郎  神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (00379372)
角谷 賢一朗  神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10533739)
土井田 稔  神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (60237170)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード椎間板 / Fas ligand / Fas / 炎症性サイトカイン / ADAM10 / 共培養 / マクロファージ / reverse signaling
研究概要

研究計画に従って、Fas ligand(FasL)の過剰発現を行ったヒト椎間板髄核細胞の不死化細胞株(NP cell line)と、マクロファージとの共培養を行い、炎症性サイトカインやFasL下流遺伝子の動向評価を行った。具体的にはNP cell lineとマクロファージ(GM-CSF cell line)を微細孔を有する培養膜の両面にそれぞれ接着共培養させ、炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α, IL-6)産生とプロテアーゼの一種である膜タンパクのADAM10発現量を評価した。またADAM10 のshRNAを用いたknock-down条件下においても炎症性サイトカイン発現量を評価した。その結果、単独培養群と比較し、共培養群では全ての炎症性サイトカイン産生が有意に増加した。またこれらは全てNP cell line側からの産生であった。さらにFasL過剰発現共培養群では、各種炎症性サイトカイン発現量がそれぞれFasL通常発現共培養群に対して有意に増加していた。また、ADAM10発現量は単独培養群と比較して共培養群のNP cell lineで有意に増加したが、ADAM10のknock-downを行うと、FasL発現量と炎症性サイトカイン産生が有意に減少した。以上より、椎間板ヘルニアを擬した本共培養モデルにおいて、FasLが炎症性サイトカイン産生に強く関与するとともに、ADAM10によりFasL発現量が制御されている可能性が示唆された。またNP cell lienからの炎症性サイトカイン産生の機序としてFasLのreverse signalingの関与が示唆された。椎間板ヘルニアにおける疼痛発生メカニズムについてはマクロファージの関与が示唆されているもののその詳細は不明である。本研究の結果はそのメカニズムの一部を分子レベルで解明したと言え、意義のある結果と考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究計画は、Fas ligand(FasL)の過剰発現を行ったヒト椎間板髄核細胞の不死化細胞株と、免疫細胞であるマクロファージとの共培養を行い、それに伴う各細胞の形態学的変化を観察するとともに、各種炎症性サイトカインの動向評価やFasL下流遺伝子の動向評価を行うことであった。研究実績の概要に記載した通り、FasL過剰発現下での共培養においてIL-1β、TNF-α、IL-6などの炎症性サイトカインの発現量の動向を調査するとともに、FasL下流遺伝子の1つであるADAM10発現量の動向を、shRNAを用いた遺伝子ノックダウン条件下においてまで調査した。以上より、おおむね計画通りに研究が進展していると考えて良いものと自己評価した。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画通り、FasLノックアウトラットによる動物実験を行う予定である。ノックアウトラットはTransposagen 社から購入予定である。正常のSD ラットとともに尾椎
を採取して椎間板の形態学的・組織学的な評価を行う予定である。また正常ラットおよびFasL ノックアウトラットの尾椎椎間板髄核細胞を採取してラット体内で作成したマクロファージと共培養し、平成24年度に行ったin vitroの実験と同様にFasL下流遺伝子であるADAM10の評価やサイトカインassayを用いた炎症性サイトカインの評価を行う予定である。さらに正常ラットおよびFasL ノックアウトラットの尾椎椎間板に、以前から我々のグループで作成に携わってきた創外固定器を用いた椎間板変性モデルをベースに、創外固定器を装着させ一定期間の加圧を加え、その後圧迫を加えた椎間板の形態学的・組織学的な評価を行いたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

前年度(平成24年度)は良好な実験成果があげられたことから、試薬にかかる費用が予想以上に少額であった。しかしながら本年度は実験成果の読めない動物実験を予定している。基本的には当初の研究計画通り、主に細胞培養に必要な試薬(DMEM、FBS など)や抗体試薬、Western-blotting試薬、RT-PCRキット、サイトカインassay試薬に、実験動物としてFasLノックアウトラットや正常Sprague-Dawleyラット購入費・飼育費を予定している。しかしながら上述の如く、動物実験に関しては結果が読めないこともあり、想定よりも高額な実験費用を必要とする可能性がある。よって前年繰越金額を、特にラットを用いた動物事件に使用させて頂きたいと考えている。またこれらに加えて学会発表や論文作成等の成果発表必要な雑費や旅費を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Fas ligand plays an important role for the production of pro-inflammatory cytokines in intervertebral disc nucleus pulposus cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto J, Maeno K, Takada T, Kakutani K, Yurube T, Zhang Z, Hirata H, Kurakawa T, Sakai D, Mochida J, Doita M, Kurosaka M, Nishida K.
    • 雑誌名

      Journal of Orthopaedic Research

      巻: 31 ページ: 608–615

    • DOI

      10.1002/jor.22274

    • 査読あり
  • [学会発表] Fas Ligand on Human Nucleus Pulposus Cells Plays an Important Role in the Production of Pro-inflammatory Cytokines.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto J, Maeno K, Takada T, Kakutani K, Yurube T, Zhang Z, Hirata H, Kurakawa T, Miyazaki S, Sakai D, Mochida J, Doita M, Kurosaka M, Nishida K.
    • 学会等名
      The 59th Annual Meeting of the Orthopaedic Research Society
    • 発表場所
      San Antonio, USA
    • 年月日
      20130126-20130129
  • [学会発表] 共培養モデルを用いた椎間板ヘルニアにおける疼痛発生機序の検討2012

    • 著者名/発表者名
      山本 潤哉、前野 耕一郎、高田 徹、角谷 賢一朗、由留部 崇、張 鍾穎、平田 裕亮、蔵川 拓外、酒井 大輔、持田 譲治、土井田 稔、黒坂 昌弘、西田 康太郎
    • 学会等名
      第27回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      愛知県名古屋市
    • 年月日
      20121026-20121027

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公開日: 2014-07-24  

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