研究課題/領域番号 |
24592198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中西 一義 広島大学, 病院(医), 病院助教 (60403557)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
砂川 融 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (40335675)
田中 信弘 広島大学, 病院(医), 助教 (20363062)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 体性感覚誘発磁界 / fMRI / 痛み / 感覚障害 |
研究概要 |
体性感覚誘発磁界の研究として、手指の機械受容器刺激に関する研究と、臨床に関連した研究として、感覚障害に関連する高次脳機能解析を行った。 1.体性感覚の刺激法の確立: 1)手指触圧覚の機械的刺激を行い、ニューロマグ社製306チャネル脳磁計を用いて体性感覚誘発磁界 (SEF) の計測を行った。また、被検者の頭部MRI より脳を三次元構成した。得られた磁界データより、逆問題を解くことより、三次元構成したMRI 画像に電流源推定を行ったところ、電気刺激後のSEF 計測における1次体性感覚と同等の部位に推定された。2)温痛覚受容器の圧迫刺激と、痛覚刺激電極を用いた電気刺激法の確立を試み、fMRIを用いて、これらの刺激による高次脳機能解析を行ったところ、一次・二次体性感覚野、帯状回、前頭前野での反応を検出することができた。 2.臨床応用: 1)手指皮弁形成術による感覚再建を行った患者に対して、感覚の改善ならびに脳磁図での一次体性感覚野の変化を経時的に観察した。手指触圧覚の機械的刺激による一次体性感覚野の反応は、手指の感覚の改善に先立って検出され、感覚の改善に伴って変化する様子を観察できた。2)慢性疼痛として、変形性膝関節症の患者に対して、上記の疼痛刺激を行い、fMRIを用いて高次脳機能解析を行ったところ、健常人と異なる脳の疼痛関連部位の反応性がみられた。3)上肢異常感覚のある頚椎症性神経根症に対し、正中・尺骨神経電気刺激によるSEF の計測を行い、痛みに関連する成分の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体性感覚の刺激法の確立として、触圧覚機械的刺激、温痛覚機械的・電気刺激の基礎的な研究に平行して、臨床的研究が進みつつある。一方で、運動タスクを定常化できる測定器を、脳磁計やfMRIが計測できるように非磁性体で作成することに成功できず、現在試行を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、基礎的研究として上述した運動タスクを定常化できる測定器の開発をすすめつつ、感覚鈍麻や疼痛、異常感覚などを有する症例に対する、臨床的研究を主体に研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、体性感覚誘発磁界の研究として、手指の機械受容器刺激、温痛覚刺激に関する研究と、臨床に関連した研究として、感覚障害や慢性疼痛のある症例の高次脳機能解析を行った。25年度は新たに手指触圧覚刺激器を導入し、さらに症例数を増やして測定を行う予定である。また、運動タスクの定常化の試行を続け、手指の運動障害のある症例に対して測定を行う予定である。26年度はこれらのデータを解析するために、解析プログラムの導入が必要である。
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