研究課題/領域番号 |
24592198
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中西 一義 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60403557)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
砂川 融 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (40335675)
田中 信弘 広島大学, 大学病院, 助教 (20363062)
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キーワード | 体性感覚誘発磁界 / fMRI / 痛み / 感覚障害 |
研究概要 |
平成25年度は24年度の研究により得られた知見を元に、感覚障害に関連する高次脳機能解析研究として、健常人に対する体性感覚誘発磁界の基礎研究を行った。また、感覚、運動障害に関連する高次脳機能解析の臨床への応用を開始した。 1.感覚機能評価:(1) 健常人の脛骨神経電気刺激による体性感覚誘発磁界の計測を行い、電流源推定して脳MRI画像に充填した。短潜時の波形の発生源について、推定電流を矢状面成分、環状面成分に分けて解析することにより、もっとも短潜時の反応は非常に弱い反応ではあるものの、体性感覚野の3b領域より発生していることが示唆された。(2) また、健常人の手指触圧覚機械的刺激と同時に集中課題を課して体性感覚誘発磁界計測を行った。(3) さらに、新たに手指触圧覚刺激器を導入し、感覚障害に関連する高次脳機能解析の臨床への応用を開始した。頚椎症性脊髄症に対し触圧覚機械的刺激を行い、体性感覚誘発磁界計測を行った。また、頸椎症性神経根症、腰椎椎間板ヘルニアに対し、痛覚電気刺激を行い体性感覚誘発磁界計測を行った。同時に従来の2点識別法、S-Wモノフィラメントを使用して感覚障害を評価した。得られた磁界データより電流源推定を行い、脳MRI画像に充填して脳活動を解析した。 2.運動機能評価:運動障害に関連する高次脳機能解析の臨床への応用として、頸椎症性脊髄症に対し指タッピング、手開閉課題を課してfMRI計測を行った。同時に中枢運動伝導時間、末梢潜時を計測したところ、術前に比べて術後に中枢運動伝導時間の短縮を認め、皮質脊髄路機能の改善が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体性感覚の刺激法として、エアーパフ神経刺激装置を導入することにより、安定した定常的な触圧覚機械的刺激が可能となった。一方で、痛覚電気刺激や運動課題による計測では、刺激条件、課題条件の違いにって結果が一定せず、試行錯誤を行っており、さらに検討が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
高次脳機能解析の臨床への応用として、頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症、腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患について,触圧覚機械的刺激や痛覚電気刺激による体性感覚誘発磁界計測のデータをさらに蓄積する。また、頸椎症性脊髄症に対して運動課題によるfMRIのデータを蓄積する。データの解析を行い、他の感覚機能評価法や中枢運動伝導時間計測や,末梢潜時計測のデータとの比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
広島大学病院外来棟の移転に伴って脳磁計の使用が平成25年9月より一時的に使用できなくなったため、残額が生じ、次年度に繰り越した。 脳磁計の復旧と同時に研究を再開し、電極など、消耗品の購入に使用する予定である。
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