研究実績の概要 |
平成26年度はキロヘルツ(kHz)刺激による歩行リズム刺激の実験データの解析を行い、脊髄不全損傷コントロール群に比較して、有意な運動機能の改善が得られることを、三次元動作解析により確認した。この結果は国内および国際学会において報告し、現在英語論文の作成中であり、近日中に海外雑誌に投稿予定である。さらに、機能的電気刺激(NMES)治療とトレッドミル歩行訓練との併用効果の解析も行った。12週齢のFisherラット(体重平均160g)25匹を使用した。脊髄不全損傷後のラットをNMES治療のみを行った群(以下NMES群, n=5)とトレッドミル上での歩行訓練を行った群(以下TM群, n=5)、およびこの2つの治療を併用した群(以下併用群, n=5)と損傷コントロール群(n=5)、正常コントロール群(n=5)の5群に分けた。脊髄損傷作成装置IH-400 Impactorを使用し、第9胸椎レベルで150kDyneのForceで圧挫し脊髄損傷を作成した。NMES治療は損傷後5日目から行った。刺激部位は足関節主動筋である前脛骨筋と腓腹筋を選択した。経皮的に各筋のMotor point近傍に針電極を設置し、過去の実験データを基に左右後肢の各筋を歩行リズムで15分間/日、連続3日間の刺激を行った。トレッドミル治療群は損傷後7日目から歩行訓練を開始し、15分間/日を連続5日間行った。併用群は上記2つの治療の両方を行った。脊髄損傷後14日目にトレッドミル上で歩行させ、4台のCCDカメラで両前後肢各関節に設置したカラーマーカーを撮影して三次元歩行解析を行い治療効果の評価をし、各群の比較を行った。トレッドミル歩行単独に比較して、機能的電気刺激治療併用群では後肢の左右の接地の位相の改善が得られることを確認した。この結果についても、国内学会において報告した。さらに、この結果は英語論文とし、海外雑誌に投稿した。
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