研究概要 |
本年度は、T11 levelでMASCIC impactor (10g x 25mm) を用いて作製した脊髄損傷モデルラットにp38 mitogen activated protein kinase (MAPK) inhibitor (SB203580; 10mic.g/100mic.L)をL4/5 levelから硬膜内投与し、その効果を行動学的・組織学的に検討した。p38 MAPK inhibitorの投与タイミングとして、損傷直後に投与したSB0群、損傷後24, 48, 72時間後に投与したそれぞれSB24, SB48, SB72群を作製して、非活性型のp38 MAPK inhibitorを投与したvehicle群と比較した。行動学的に、BBB score(0点が完全麻痺で21点が正常)はvehicle群では9.7±0.6点であったが、SB0、SB24, SB48, SB72群はそれぞれ14.4±0.5(p<0.01), 13.6±0.4 (p<0.05), 12.5±2.0 (p<0.05), 10.5±0.6点であり、損傷後48時間までは有意な差をもって後肢運動機能の改善が認められた。組織学的検討では、損傷後1W目、2W目で脊髄損傷部位の10mic.mの横断面凍結切片を作製し、1W目はox-42を用いた間接抗体法で、増殖するmicrogliaの数を、2W目はapoptosis染色を用いて側索及び後索を通る軸索のapoptosis細胞の数を評価した。microgliaの面積あたりの数は、vehicle群と比べてSB0, SB24, SB48群で有意に少なく、p38 MAPK inhibitorによるmicroglia増殖が損傷後48時間目までの投与で抑制されることが証明された。また、apoptosis細胞の数も同様に抑制されていた。
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