研究課題/領域番号 |
24592201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
谷 俊一 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (90136250)
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研究分担者 |
木田 和伸 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30325419)
石田 健司 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (10274367)
池内 昌彦 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (00372730)
公文 雅士 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20380371)
泉 仁 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (60420569)
田所 伸朗 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (20457401)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腰部脊柱管狭窄症 / 間欠跛行 / ニューロモデュレーション / 末梢神経刺激 / F波 / 保存療法 |
研究概要 |
腰部脊柱管狭窄症(LSS)における脛骨神経低電流反復刺激(LR-TENS)の臨床的および電気生理学的効果を明らかにするため、平成24年度は(1)臨床的評価法として連続歩行可能距離(CD)と冷覚閾値(CPT)を用い、(2)電気生理学的評価法としてM波、F波、経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)、馬尾神経活動電位(CEAP)を用いた。(1)中心性LSSではLR-TENSによりCDは平均23 mから42 mに改善し(n=5)、CPTは平均26.1 °Cから25.5 °Cに変化した(n=5)。また、(2)膝窩部脛骨神経刺激―母趾外転筋(AH)記録のM波潜時は不変であり(平均13.0 ms → 13.1 ms : n=4)、F波最短潜時は平均52.8 msから51.9 msに短縮し(n=5)、AHのMEP潜時は平均50.0 msから48.3 msに短縮した。またL4/5椎間狭窄例の手術時に椎弓を展開した状態で、LR-TENS前後に坐骨神経刺激―CEAPをL3/4椎間黄靱帯から記録すると、CEAP潜時は不変であった(12.4 ms → 12.4 ms : n=1)。LR-TENSの効果としてCDの改善が再確認され、M波潜時の短縮を伴わないF波最短潜時の短縮から馬尾での神経伝導の改善が示唆されたが、手術例の術中CEAP記録では1例ではあるがLR-TENS によるCEAPの潜時短縮は確認されなかった。覚醒時のLR-TENSの効果は全身麻酔下では再現されない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標である腰部脊柱管狭窄症(LSS)における脛骨神経低電流反復刺激(LR-TENS)の臨床的および電気生理学的効果についての臨床実験を行いデータが得られている。統計学的処理が行えるほど症例数は多くないが、今後の研究の方向性を検討する上で貴重なデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、LR-TENSの効果を評価するために連続歩行可能距離(CD)、冷覚閾値(CPT)、M波、F波、経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位(MEP)など、患者一人に対して同時に多くの評価法を用いた。しかし、実際に行ってみると、手技が煩雑で検者と被験者の集中力の維持に問題があること、LR-TENSの効果に経時的変化があるとすると評価に長時間を要することは望ましくないことなどが明らかとなった。また、馬尾活動電位(CEAP)の術中記録は全身麻酔下であるため覚醒時のF波データとの関連を評価するには不適切と考えられた。以上のことから、今後の研究の進め方として、(1)LR-TENS効果のメカニズムの電気生理学的研究プロトコールを単純化すること、(2)リアルタイム筋放電積分装置の作成、(3)LR-TENS用刺激装置プロトタイプの製作、の3点を中心に行うこととした。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は次の(1)~(3)の用途に使用する予定である。(1)予備研究で確認された中心性LSSにおけるLR-TENSの効果、すなわちCDの改善とLR-TENS刺激側におけるAH-F波の最短潜時短縮(すなわち伝導速度の改善)がLR-TENS非刺激にも認められるか否かを評価するために電気生理学的検査に必要な電極に使用する。(2)また、平成25年度研究計画に計上したようにリアルタイム筋放電積分装置の作成のために使用する。(3)平成25年度研究計画に計上したようにLR-TENS用刺激装置プロトタイプの製作に使用する。
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