研究課題/領域番号 |
24592201
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
谷 俊一 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (90136250)
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研究分担者 |
木田 和伸 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (30325419)
石田 健司 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (10274367)
池内 昌彦 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (00372730)
公文 雅士 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (20380371)
泉 仁 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (60420569)
田所 伸朗 高知大学, 医学部附属病院, その他 (20457401)
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キーワード | 腰部脊柱管狭窄症 / 間欠跛行 / ニューロモデュレーション / 末梢神経刺激 / F波 / 保存療法 |
研究概要 |
中心型腰部脊柱管狭窄症(central LSS)における脛骨神経低電流反復刺激(Low-intensity repetitive transcutaneous electrical nerve stimulation [LR-TENS])の神経生理学的効果をさらに明らかにするため、平成25年度は(1)臨床的評価法として連続歩行可能距離(claudication distance)、(2)電気生理学的評価として、LR-TENS刺激側と非刺激側において脛骨神経刺激―母趾外転筋記録のM波とF波をLR-TENSの前後で記録した。 症例は11例(男9、女2; 60-80歳 [平均69.9歳])で、(1)Claudication distanceはLR-TENS前が152.7±21.2 m、LR-TENS後が323.6±39.0 mであり、有意に(p=0.003)増加した。(2)LR-TENS刺激側のF波は、出現率(87.8±4.8 %→82.1±5.6 %; NS)、F/M振幅比(5.2±0.8 %→3.3±0.5 %; NS)、平均潜時(55.0±1.6 ms→54.4±1.5 ms; NS)において有意差はなかったが、最短潜時(50.7±1.4 ms→48.5±1.4 ms; p=0.028)が有意に短縮した。一方、LR-TENS非刺激側のF波は、出現率(73.5.8±7.3 %→76.8±7.1 %; NS)、F/M振幅比(4.3±0.8 %→4.0±0.6 %; NS)、平均潜時(55.9±1.8 ms→55.6±1.7 ms; p=0.585)、最短潜時(51.9±1.6 ms→49.4±1.2 ms; p=0.063)のいずれにおいてもLR-TENSの前後で有意差がなかった。 従って、LR-TENSにより刺激側のF波の最短潜時は有意に短縮したが、非刺激側ではF波は同様の変化を示したが統計学的に有意なレベルに至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の研究において、central LSS患者の片側下肢に加えたLR-TENSの効果として、自覚症状の改善が非刺激側にも及ぶ可能性が示唆された。そこで、25年度は、LR-TENSのニューロモデュレーション効果を刺激側と非刺激側のF波で客観的に評価した。その結果、研究実績の概要で述べた通り、LR-TENS刺激側のみならず非刺激側にもニューロモデュレーション効果が及ぶ可能性が示唆されたが統計学的に有意レベルに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の単純化したプロトコールにもとづいた研究を継続して行い、central LSS患者の中でLR-TENS 介入を行ったLR-TENS(+)群と介入しなかったLR-TENS(-)群をそれぞれ少なくとも15例ずつについて実験する。評価はclaudication distance の変化、M波およびF波の変化に絞って行う。但し、電気生理学的評価(M波およびF波)は刺激側と非刺激側の両側について実施し、LR-TENSによるニューロモデュレーション効果の広がりを明らかにする。以上の結果を英文誌に投稿すること、およびLR-TENSを臨床応用するための簡易刺激装置プロトタイプの制作を目指して研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の単純化したプロトコールにもとづいた研究を継続して行い、central LSS患者の中でLR-TENS 介入を行ったLR-TENS(+)群と介入しなかったLR-TENS(-)群をそれぞれ少なくとも15例ずつについて実験する。評価はclaudication distance の変化、M波およびF波の変化に絞って行う。但し、電気生理学的評価(M波およびF波)は刺激側と非刺激側の両側について実施し、LR-TENSによるニューロモデュレーション効果の広がりを明らかにする。以上の結果を英文誌に投稿すること、およびLR-TENSを臨床応用するための簡易刺激装置プロトタイプの制作を目指して研究を推進するため。 26年度の研究経費は、電気生理学的検査に必要な電極など消耗品の購入、簡易刺激装置プロトタイプの制作費、学会出張旅費、論文校正謝金に使用する。
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