機能未知である新規の分子RAMPとケモカインの一つであるCXCL14をmdxマウス筋芽細胞株より同定した。いずれの分子も分泌タンパク質であり、マウス筋再生時に発現が誘導されるが、筋再生過程にどのように関与するのか明らかにされていない。本研究課題では、(1)細胞培養系を用いたRAMPの機能解析、骨格筋特異的RAMP遺伝子を欠損するマウスを用いた筋再生過程におけるRAMPの機能解明を行う。また、(2)筋分化促進因子と考えられるCXCL14 がどのように筋分化を促進するのかを細胞培養系およびマウス個体を用いて明らかにすることを目的とした。 RAMPについてはコンディショナルノックアウトマウスの作成には到達できなかった。しかし、RAMPはLYVE1のヒアルロン酸結合領域を介してRAMPのC末側のトリプシン様セリンプロテアーゼ領域と結合する可能性が明らかになった。 CXCL14についてはin vitro培養系によるCXCL14の機能解析とin vivoにおけるCXCL14の機能解析をおこなった。マウス筋芽細胞株C2C12において、増殖および筋分化を促進することが分かった。さらにCXCL14はCXCL12のCXCR4への結合を阻害する効果が報告されているが、C2C12ではそのような効果は見られないことがわかった。また、マウス骨格筋再生時にCXCL14を投与したところ、筋再生が促進されることが明らかになった。 RAMPについては今後、コンディショナルノックアウトマウスを作成し、骨格筋再生過程におけるRAMPの機能を明らかにし、さらに細胞増殖促進効果をRAMPの作用機序を明らかにしたい。また、CXCL14については、CXCL12とCXCR4との相互作用と骨格筋再生機構への関与について明らかにしていく予定である。
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