研究課題/領域番号 |
24592213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 東海大学, 医学部, 准教授 (10408007)
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研究分担者 |
持田 譲治 東海大学, 医学部, 教授 (30129697)
檜山 明彦 東海大学, 医学部, 助教 (00514382)
中井 知子 東海大学, 医学部, 特定研究員 (20624589)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 椎間板 / 線維輪細胞 |
研究概要 |
椎間板障害は、脊椎の様々な疾患の原因となり、その診療にかかる医療費は年間1,700億円超 とされ、医薬経済に与える影響が大きい上に、その好発年齢は壮年期の男性に多いため社会的な医療問題となっている。科学的根拠に基づいた新規治療法を開発するためには、椎間板の細胞・分子レベルでの理解が必須である。椎間板は人体最大の無血管臓器という特性から、通常の組織修復機能である、血行を介した外部からの幹細胞誘導機能に乏しい。このため、本研究グループでは、これまで不明であった椎間板組織における内在性幹細胞ニッチの局在を解明するべく、マウスおよびヒトでの解析を行った。 まず、椎間板線維輪を構成する細胞集団中のNG2、CD146、CD49f、CD90、CD105、CD166、Tie2、Ang1、MHC class IなどのStem cellマーカーを高発現する細胞のソーテウィングを行うべく、マウス椎間板から線維輪細胞の分離を試みた。その手法は顕微鏡下で線維輪組織を髄核の混入がないように丁寧に徒手的に行う操作がとられた。その後、プロナーゼ、コラゲナーゼを用いた古典的酵素処理方法が用いて細胞を組織から分離したが、得られた細胞の数、質的に幹/前駆細胞が得られている様子がなかった為、TryLE Express、Liberaseを用いる手法を開発、これにより回収率、増幅コロニー検出率が格段に向上した。その後、回収した細胞を1継代増幅させたところで、フローサイトメトリーにて増殖率と相関するマーカーの探索を行った。 その結果、NG2、CD105、CD146などが細胞の増殖率、コロニー形成率に関係した表面マーカーとして検出された。今後、これらマーカーを用いた特定の椎間板線維輪幹/前駆細胞が同定出来るか否かを検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はマウスおよびヒトの線維輪組織の表面マーカー検索であったので、研究の進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
1. 線維輪幹/前駆細胞集団の同定 引き続き、ヒト椎間板線維輪組織からの表面マーカー解析と、その後の自己複製能、多分化能を解析し、幹/前駆細胞に特有なマーカー発現変化を明らかにして行く。 2. in vivo assay系の確立。 椎間板線維輪の再生医療を考慮した場合、同組織における幹/前駆細胞の有無を発見することは非常に有意義である。そのためには的確に簡便に同細胞を同定できるin vivo assayの開発は必要不可欠となる。in vitroでの結果をもとにin vivo assay系を開発し、同組織における幹/前駆細胞の存在を証明する。免疫不全マウスの1つであるNOD/SCIDマウスへの様々な移植実験を行い、有効かつ簡便なin vivo assay系の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウス、ヒト細胞用抗体、細胞培養用試薬、器具の購入、C57BL6マウス、免疫不全マウスなどの購入およびその飼育費。またセルソーターなどのオペレーション費用などに使用予定である。
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