研究課題/領域番号 |
24592216
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
名越 慈人 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), 整形外科, 客員研究員 (10383837)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 脊髄損傷 |
研究概要 |
本研究の目的は、慢性期脊髄損傷患者に対する、神経障害性疼痛の実態を明らかにすることである。これまでの研究は、神経障害性疼痛の部位別に分けて評価しているのみであり、どのような痛みを訴えているのか、その性質に焦点を当てた報告はなかった。本研究では、Neuropathic Pain Symptom Inventory (NPSI)と呼ばれる質問票を用いて、受傷3か月以上が経過した脊髄損傷患者に配布し、神経障害性疼痛の詳細な性質を評価した。 本年度は、引き続き患者の登録数を増やし、最終的に72例の患者からデータを採取した。その結果、1)脊髄損傷では知覚異常やしびれが他の痛みに比べて有意に強く出現すること、2)疼痛部位に関しては、below-levelの痛みがat-levelの痛みに比べて有意に強いこと、3)ASIA分類ではgrade Bが他のgradeに比べて有意に強い痛みを訴えること、4)神経障害性疼痛とSF-36サブスコアとに相関がみられたこと、が明らかになった。below-levelの痛みは脊髄視床路の損傷を表すと考えられている。したがって、脊髄損傷における脊髄視床路の損傷が、後に発生する神経障害性疼痛の主たる原因になっていることが考えられた。 今後は、患者数をさらに増やし、より詳細な神経障害性疼痛の性質を評価する予定である。さらに、学会発表と論文発表を行って、評価をいただきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに72例の患者を登録し、採取したデータから研究結果が得られている。学会発表も行っており、順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、患者数をさらに増やすこと、さらに論文発表を行うことで、脊髄損傷における神経障害性疼痛の実態を明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
患者を登録する際、実際に外来や入院している患者を対象としたため、切手代など通信費に使用する金額が余剰となったため。 学会活動や論文執筆に使用する予定である。
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