研究課題/領域番号 |
24592216
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
名越 慈人 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10383837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 神経障害性疼痛 |
研究実績の概要 |
72例(男性66例、女性6例、平均年齢:56.4歳)の脊髄損傷患者の詳細なデータを解析し、興味深い結果を得た。脊髄損傷において、最も訴えの強い神経障害性疼痛の性質は異常感覚であった。また損傷高位別で調べると、頸椎損傷において異常感覚が有意に認められたが、胸椎・腰椎損傷においては痛みの種類に関して有意差は認められなかった。疼痛の部位について調べると、損傷高位以下の痛みの方が損傷高位の痛みよりも強い傾向にあった。患者を受傷後1年未満と1年以上とで分別すると、1年以上の方が痛みを強く訴える傾向にあった。損傷の程度と神経障害性疼痛の関係を比較すると、AIS grade Bにおいて有意に疼痛が強かった。SF36と疼痛の関係を調べると、bodily pain、general healthおよびmental healthにおいて、疼痛と有意な負の相関を認めた。今回の結果により、脊髄損傷後の神経障害性疼痛の実態が明らかになった。疼痛は、損傷高位、損傷部位、損傷程度、および患者の生活の質と有意に関連していた。今後はこの結果を得て、痛みの軽減に結びつくような治療開発に取り組んでいきたい。 得られたデータを論文化し、2015年1月に投稿をした。現在はリバイスの指示を得ており、その修正を行っている段階である。また、この研究結果は2015年5月に開催するGlobal Spine Congressの口頭発表に採択されており、成果を世界に向けて発信する良い機会と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの採取、解析が終わり、論文の投稿および学会発表(国内外)を行えている。研究の達成度としては十分と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究は横断研究であるため、患者個人の時間的な痛みの経過を追うことができなかった。より強いエビデンスレベルの研究を求めるためには、今後前向き試験に取り組む必要があると考えている。また、患者数が72例と少ないため、統計学的に強いエビデンスを示すには、さらに患者をリクルートする必要がある。ただしこれらは、将来的な展望であり、科学研究費を申請した際の内容に関しては、すべて到達していると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在論文が査読審査に回っており、今後の校正・投稿料金が必要なため。
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次年度使用額の使用計画 |
校正及び投稿に使用することを考えている。また余剰分については学会費や原稿作成費に充てることを検討している。
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