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2012 年度 実施状況報告書

高齢者脊椎疾患患者における体幹筋量の測定と体幹筋量増加の治療過程に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 24592217
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

酒井 義人  独立行政法人国立長寿医療研究センター, 先端診療部, 脊椎外科医長 (70378107)

研究分担者 近藤 和泉  独立行政法人国立長寿医療研究センター, 機能回復診療部, 部長 (50215448)
原田 敦  独立行政法人国立長寿医療研究センター, 病院, 副院長 (80198910)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード脊椎脊髄病学 / 腰痛 / サルコペニア
研究概要

高齢者の筋肉減少症(サルコペニア)に対する発症機序解明が研究されているが、現在最も利用されているDXA法では内臓重量の影響を受けない四肢除脂肪量での評価のため、体幹筋量は正確に評価できない。本研究では、高齢者における体幹筋量を正確に把握し、体幹筋機能との関連を評価することにより腰椎疾患における体幹筋量増強が四肢同様、高齢者運動機能改善の一助となるか検討することを目的としている。平成24年度においては腰部脊柱管狭窄症のため腰椎MRIとDXAを行った174例(平均73.4歳、65~91歳)の画像を解析した。体幹筋を腰部多裂筋と脊柱起立筋に分けL1/2およびL4/5高位での断面積を計測し、ADL低下との関連を評価した。サルコペニアの基準は42例(24.3%)、ロコモティブシンドローム(ロコモ)は71例(41.0%)に認め、ともに有意に年齢が高かった。ロコモとサルコペニアの合併は23例(13.3%)にみられた。ADLの有意な低下はサルコペニア合併ではBarthel indexのみに認めたが、ロコモの合併ではさらにSF-36におけるPFとRP、EQ5Dに有意に認められた。これらADLの低下はサルコペニアとロコモの合併でさらに顕著であった。サルコペニアではL4/5高位で脊柱起立筋面積の有意な減少を認め、ロコモではL4/5高位で多裂筋、脊柱起立筋ともに有意な減少を認めた。サルコペニアによりある程度のADL低下を認めるが、ロコモを伴うことにより顕著となっていた。サルコペニアはtype II筋線維の減少を反映し脊柱起立筋の萎縮が見られたが、ロコモでは脊柱起立筋に加え多裂筋の萎縮も伴っていた。サルコペニアのみで高齢者ADLに大きく影響するものではないが、ロコモに至る過程において四肢筋量が減少している可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

体幹筋の2次元での評価は画像解析が容易であり順調に進んでいる。3次元的評価である体幹筋体積計測は画像解析ソフトを導入し、解析可能なことを確認した。症例の蓄積は順調に進んでおり、平成25年度より3次元的な画像解析作業に入る予定である。

今後の研究の推進方策

腰椎変性疾患患者の症例データベースは既に構築されており、画像解析作業も順調に進んでいる。本研究課題の遂行において大きな変更はない。体幹筋の2次元的評価と3次元的評価の差異および、高齢者ADLおよび四肢筋肉減少(サルコペニア)との関連を評価し、高齢者におけるADLを四肢筋および体幹筋の両側面から検討する。

次年度の研究費の使用計画

謝金を用いて画像解析専門家による体幹筋体積計測を行うために主に使用する。その他、研究報告のための旅費、論文作成のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Osteophyte Formation in the Lumber Spine and Relevance to Low Back Pain.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihito Sakai
    • 雑誌名

      Low Back Pain Pathogenesis and Treatment

      巻: 1 ページ: 27-40

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 腰部脊柱管狭窄症における腰痛性間欠跛行2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 雑誌名

      J Spine Res

      巻: 3 ページ: 872-878

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ロコモティブシンドロームとしての腰部脊柱管狭窄症~虚弱(frailty)との係わりも含めて~2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 雑誌名

      CLINICAL CALCIUM

      巻: 22 ページ: 59-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 運動器障害は虚弱における身体的脆弱性にどこまで関与しているのか2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      CLINICAL CALCIUM

      巻: 22 ページ: 11-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 転倒・骨折患者にみられる虚弱(Frailty)2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      CLINICAL CALCIUM

      巻: 22 ページ: 27-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 転倒リスクの評価と転倒予防2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      CLINICAL CALCIUM

      巻: 22 ページ: 68-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 骨粗鬆症性椎体骨折に対する我が国での医療行為2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      整形外科最小侵襲手術ジャーナル

      巻: 64 ページ: 15-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ロコモティブシンドロームの原因疾患と治療 大腿骨近位部骨折2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      臨床と研究

      巻: 11 ページ: 31-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループの報告―の監訳とQ&A2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      日本老年医学会雑誌

      巻: 49 ページ: 788-805

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サルコペニア─筋研究の最前線─ サルコペニアの定義や診断基準2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 雑誌名

      Bone Joint Nerve

      巻: 3 ページ: 139-149

    • 査読あり
  • [学会発表] 高齢者慢性腰痛症における神経障害性疼痛とプレガバリンの効果2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第20回日本腰痛学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20121103-20121103
  • [学会発表] 筋電図と筋音図を用いた腰痛患者の多裂筋活動の評価2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第20回日本腰痛学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20121103-20121103
  • [学会発表] 高齢者医療の今-運動器不安定の最新の知見- 高齢者のサルコペニア2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 学会等名
      第14回日本医学会公開フォーラム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121020-20121020
    • 招待講演
  • [学会発表] サルコペニアに対する活性型ビタミンD剤の治療効果-筋量増強効果に関する骨粗鬆症患者における検討-2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 学会等名
      第14回日本骨粗鬆症学会
    • 発表場所
      新潟
    • 年月日
      20120929-20120929
  • [学会発表] 頚髄症手術におけるサルコペニアの影響2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第54回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120629-20120629
  • [学会発表] 高齢者腰痛症の病態と治療2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第54回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120629-20120629
  • [学会発表] サルコペニアに対する薬物治療の可能性ー骨粗鬆症薬の検討からー2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 学会等名
      第54回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120628-20120628
  • [学会発表] 高齢者頚髄症手術における四肢筋量の影響2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第49回日本リハビリテーション医学会学術集会
    • 発表場所
      博多
    • 年月日
      20120602-20120602
  • [学会発表] 腰部脊柱管狭窄症手術例におけるロコモティブシンドロームの影響2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第85回日本整形外科学会学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20120519-20120519
  • [学会発表] 腰部脊柱管狭窄症における腰痛―神経性腰痛は起こりうるか―2012

    • 著者名/発表者名
      酒井 義人
    • 学会等名
      第41回日本脊椎脊髄病学会
    • 発表場所
      久留米
    • 年月日
      20120419-20120419
  • [図書] Low Back Pain Pathogenesis and Treatment2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihito Sakai
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      In Tech
  • [図書] 骨粗鬆症・骨折の合併症とQOL2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 総ページ数
      391
    • 出版者
      医薬ジャーナル社
  • [図書] ロコモティブ・シンドローム2012

    • 著者名/発表者名
      原田 敦
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      メディカルレビュー社

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公開日: 2014-07-24  

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